タイにも三越の「デパ地下」登場、東南アジアで「食」の出店を加速…日本への旅行者も多く「認知度高い」
読売新聞 / 2024年12月5日 7時20分
日本の小売り各社が、東南アジアで食を前面に出した店舗に力を入れている。訪日客の増加を追い風につなげようと、タイでは「デパ地下」と呼ばれる百貨店の食料品売り場をイメージしたスーパーが登場した。富裕層や中間層の拡大をにらみ、旺盛な消費意欲を取り込む狙いがある。(バンコク支局 井戸田崇志)
三越伊勢丹ホールディングス(HD)は10月、タイの首都バンコクで開業した複合施設「ワンバンコク」に、高級スーパー「三越DEPACHIKA(デパチカ)」を出店した。生鮮・加工食品や総菜のほか、洋菓子などを販売するテナントも入れた。
店舗責任者の大野真人氏は「日本に旅行するタイ人が増え、デパ地下の認知度は高い。食材の品質の高さや鮮度の良さを前面に打ち出し、新たなブランドを構築したい」と意気込む。
三越伊勢丹HDは、コロナ禍の2020年8月に百貨店「バンコク伊勢丹」を閉店した経緯がある。約4年ぶりの再進出では、業態を変え、食に特化して集客力を高める。
量販店「ドン・キホーテ」を手がけるパン・パシフィック・インターナショナルHDは17年にシンガポールに進出し、現在は3か国で29店舗を展開する。日本食材などが好調で、さらに店舗網を拡大する方針だ。イオンも、既に商業施設7店舗を運営するベトナムで4店の新設を計画する。
日本市場の縮小が見込まれる中、小売り各社にとって東南アジアは重要市場となっている。国際通貨基金(IMF)の予想では、タイやマレーシアなど東南アジア主要5か国の25年の経済成長率は4・5%で、世界全体(3・2%)を上回る。調査会社ケイダンスのタイ法人がアジアの若者を対象に行った意識調査では、「欲しいものが高額でも手に入れたい」と答えた割合は日本が14%だったが、タイでは44%に上った。
ただ、韓国ロッテグループなどの外資や現地財閥も各国で出店攻勢を強めており、競争は激化している。
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