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島根原発2号機がきょう再稼働…30キロ圏内の人口45万人、避難計画の実効性が重要に

読売新聞 / 2024年12月7日 0時0分

 中国電力は7日、全国で唯一、県庁所在地に立地する島根原子力発電所2号機(松江市、82万キロ・ワット)を約13年ぶりに再稼働させる。東日本大震災後の再稼働は8原発14基目。今月下旬に発電を再開し、来年1月上旬に営業運転に入る予定。

 島根原発2号機は、東京電力福島第一原発と同じ沸騰水型軽水炉(BWR)。震災後の2012年1月に定期検査で停止した後、21年9月に原子力規制委員会の安全審査に合格し、島根県の丸山達也知事が22年6月、再稼働の容認を表明した。BWRの再稼働は東北電力女川原発(宮城県)2号機に続き2例目となる。

 中国電は新規制基準に対応するため、放射性物質の漏えいを抑えながら原子炉格納容器内の圧力を下げる「フィルター付きベント(排気)装置」の設置など、64項目の安全対策を実施。津波対策では、最大11・9メートルの津波を想定した高さ15メートルの防波壁を1・5キロにわたって整備した。

 避難計画の策定が求められる原発30キロ圏内の人口は、6市(島根県松江、出雲、安来、雲南市、鳥取県境港、米子市)の計約45万人。日本原子力発電東海第二原発(茨城県、約92万人)、中部電力浜岡原発(静岡県、約82万人)に次いで3番目に多く、震災後に再稼働した原発の中では最も多い。

 7日は、午後に制御棒を引き抜いて原子炉を起動し、約2時間で核燃料が一定の熱を出し続ける「臨界」に達する見通し。

30キロ圏内の住民45万人、避難計画の実効性カギ

 島根原発2号機は、事故時の避難対象となる30キロ圏内の住民が約45万人に上り、東日本大震災後に再稼働した原発の中で最も多い。避難計画の実効性をいかに高めるかが重要になる。

 元日の能登半島地震では北陸電力志賀原発(石川県)の30キロ圏内で道路が寸断され、住民が一時孤立した。島根県の避難計画では、避難はマイカーなど陸路を中心としており、道路が寸断されれば影響は大きい。そこで県は先月、避難ルートが寸断したとの想定で広域避難訓練を実施。警察官が車で避難する住民らを迂回うかい路へ誘導した。

 円滑な避難のために「段階的避難」もカギとなる。

 国の原子力災害対策指針は、5キロ圏内の住民は放射性物質の放出前に避難を始め、5~30キロ圏内はまずは屋内に退避し、放射線量が基準値を超えた地区から順に避難すると定める。

 島根県の推計では、5キロ圏内の住民の避難時間は30キロ圏内も一斉に避難すると10時間かかるが、段階的避難で4分の1に短縮される。県原子力安全対策課は「指示に従わずに車で移動すると、かえって被曝ひばくのリスクが高まる」と危惧する。

 避難の課題は他の原発にも共通する。

 首都圏にある唯一の原発で、30キロ圏内の人口が最多の日本原子力発電東海第二原発(茨城県)。避難計画の策定義務がある14市町村のうち、水戸市など6市町が策定できていない。茨城県原子力安全対策課は「人口が多い分、実効性を慎重に検討している」と説明。水戸市は近隣5県の40市町と避難先などの協議を進めており、市防災・危機管理課は「調整に時間がかかる」とする。

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