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韓国弾劾不成立 事態の収拾はさらに遠のいた

読売新聞 / 2024年12月8日 5時0分

 韓国の尹錫悦大統領に対する弾劾だんがい訴追案は不成立となったが、事態収拾にはほど遠い。混乱がさらに広がるのは避けられないだろう。

 尹大統領が宣言した戒厳令をめぐり、韓国の国会(定数300)で、左派系野党が提出した弾劾訴追案の採決が行われた。可決には全議員の3分の2以上の賛成が必要だったが、与党議員の大半は議場から退席した。

 これに先立ち、尹氏はテレビを通じて談話を発表し、非常戒厳を宣言したことについて謝罪した。辞任には言及しなかったが、「法的、政治的な責任問題は回避しない」と述べ、今後の政局安定策を党に一任する考えを示した。

 4日に非常戒厳の解除を発表して以降、尹氏が公の場に現れたのはこれが初めてである。唐突な宣言で国内外に衝撃を与えたことについて、もっと早く自分の言葉で説明すべきではなかったか。

 大統領の一連の対応が国民の間に不信を広げたのは間違いない。与党内でも一時、弾劾訴追案に賛成する動きが出た。尹氏の謝罪を踏まえていったん反対することでまとまったが、尹氏の早期退陣を求める声はくすぶっている。

 今後も尹氏の進退をめぐる与野党間の攻防が続くことになる。野党は、可決されるまで弾劾訴追案を提出し続け、尹政権を揺さぶる方針を示している。

 国会は野党が過半数を握る。尹氏が国政の停滞の打破を理由に非常戒厳という強権的な手法に打って出たのは、暴挙と言うほかないが、数の力で押し切ろうとする野党の行動も混乱を増幅させる一因となっている。

 今後の展開は予断を許さない。新たな弾劾訴追案が提出され、可決されれば、大統領はただちに職務停止となる。憲法裁判所が罷免ひめんの判断を下せば、大統領は失職し、大統領選が行われる。尹氏が辞任した場合も、選挙となる。

 韓国では、保守派と左派の対立が固定化している。保守派の尹政権は対日・対米関係を重視し、北朝鮮には厳しい姿勢をとってきた。次期大統領選の結果次第では、こうした外交方針が根本から覆される恐れがある。

 すでに米国のオースティン国防長官は、韓国への訪問をとりやめたと伝えられる。石破首相や中谷防衛相も検討していた訪韓を当面延期せざるを得ない状況だ。

 韓国内政の混迷が日韓関係をはじめ国際秩序に悪影響を及ぼさないよう、与野党の当事者が努力を尽くすことを望みたい。

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