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JR東値上げ 安全な運行に生かしてほしい

読売新聞 / 2024年12月10日 5時0分

 日々の暮らしを支える鉄道事業は、安全な運行が何よりも大切だ。値上げによる収益の改善を、利用者の安心感の向上につなげてもらいたい。

 JR東日本は、2026年3月の運賃値上げを国土交通省に申請した。管内の全エリアを対象に、平均7・1%引き上げる。

 消費増税時などを除くと、旧国鉄が民営化した1987年以来、JR東が運賃を全面的に改定するのは初めてだ。値上げで年881億円の増収を見込む。

 国交省は今年4月、運賃の算定ルールを柔軟化して、安全対策への投資や災害復旧のコストなどを反映しやすくした。

 JR東は値上げの理由について、物価高が続く中、安全な鉄道輸送の維持費用を確保し、車両更新も進めるためだとしている。

 鉄道インフラの老朽化や異常気象による自然災害の激甚化により、設備投資の費用が毎年4500億円程度かかるという。値上げによる増収を安全対策の強化へ着実に振り向けることが重要だ。

 JR東では9月、走行中の東北新幹線の連結器が外れるトラブルが起きた。車輪と車軸の取り付け作業で、過去に数値の改ざんがあった問題も判明している。

 収益の改善は、施設整備だけでなく、人材確保や育成策に充て、問題の再発防止を徹底する必要があろう。ホームドアの設置や鉄道設備の耐震化も急ぐべきだ。

 今回の運賃改定で、山手線の切符の初乗り運賃は、現在の150円が160円に上がる。

 東京―横浜間は40円高い530円になる。通勤定期は平均で12%の値上げになるという。私鉄との競合を考慮し、安く抑えてきた運賃体系も見直すことになる。一方で家計の負担増に配慮し、地方路線などの通学定期は据え置く。

 利用者への影響が大きいだけに、JR東は、値上げに加え、料金体系を変更する事情について、丁寧な説明を心がけてほしい。

 コロナ禍以降、テレワークの導入が進み、通勤定期の利用者数の減少などで、鉄道事業は大きな変革を迫られている。

 JR東も2023年度の旅客輸送が、19年度比で9割弱の水準にとどまる。利用者が落ち込んでいるローカル線は、23年度に757億円の赤字を計上した。

 厳しい経営環境下で、JR九州やJR北海道、私鉄などにも値上げの動きが広がっている。

 値上げは利用者離れを招く面もある。路線網を維持するためには収益の多角化も課題になろう。

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