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高級魚ノドグロ「大量生産への壁越えた」…「深海」再現し稚魚生産に世界初の成功

読売新聞 / 2024年12月12日 10時51分

水槽内で成熟したノドグロ(富山県水産研究所提供)

 すしや焼き物として人気が高い高級魚「アカムツ(ノドグロ)」について、富山県水産研究所(滑川市)は10日、水槽内で天然魚が産んだ受精卵を孵化ふかさせ、稚魚に育てることに成功したと発表した。世界初とみられる快挙で、安定した稚魚生産につながると大きな期待が寄せられる。

 アカムツは北陸や山陰、九州などでとれる白身魚。脂が多く、加熱しても硬くならず、刺し身のほか塩焼きや煮付けなど、様々な調理法で楽しまれる。

 漁獲量の変動は大きく、稚魚生産が安定すれば大きな利益が見込めることから、同研究所は2011年に研究を始めた。他の機関とも協力し、13年には全国で初めて稚魚の生産に成功。16年以降は、富山湾での稚魚の試験放流を続けている。

 一方、課題も残されていた。受精卵は産卵期の8~10月に刺し網の漁船に乗り、とれた親魚から卵と精子を採取し、海上で人工授精することで得ていた。良質な卵を持つ雌は少なく、台風の影響も受けやすいため、20年からは天然魚を同研究所に移し、産卵の親魚とするため育ててきた。

 施設ではアカムツが生息する水深100~200メートルの深海を再現し、低水温かつ暗い場所で親魚を育成してきた。さらに今年は、アカムツが産卵期前の初夏により浅い70~100メートル付近まで移動する習性を踏まえ、「いつもより思い切って」(同研究所)水温を上げた。エサもホタルイカやキュウリエソなど、アカムツが深海で食べるものに切り替えた。

 こうした取り組みの結果、8月下旬には水槽内で58万粒以上の受精卵が得られ、うち39万尾以上が孵化した。このまま育成を続け、来年1月頃に稚魚1000~2000匹を富山湾に放流する予定だ。

 主任研究員・福西悠一さん(42)は「今回の成果で、大量生産には絶対に欠かせない壁を乗り越えた。来年度以降も研究を継続し、アカムツを富山に多くの人が訪れるきっかけにしたい」と意気込んだ。

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