応援アンバサダーの長濱ねるさん、東京デフリンピックを語る「チャーミングな選手たちの背中押す」
読売新聞 / 2025年1月1日 5時0分
聴覚障害者の国際スポーツ大会「デフリンピック」(読売新聞社協賛)が11月15―26日の日程で、東京、福島、静岡の17会場を舞台に開催される。「応援アンバサダー」を務める長濱ねるさん(26)が読売新聞のインタビューに応じ、大会への熱い思いを語った。(聞き手・荒井秀一)
――デフリンピックの開幕まで1年を切りました。心境はいかがですか。
「就任したときは、まだデフリンピックというものがあまり知られていないという肌感覚がありました。その中で活動してきて、(昨年11月の)1年前イベントには多くの方に来ていただいたり、通りすがりの方が足を止めてくださったりしてくれました。少しずつ皆さんにデフリンピックという言葉を知っていただきつつあるのかなと思います」
ワクワクしながら手話習得
――小学生の時に手話に触れたことがあるんですね。
「学校の授業で触れたことがあって、そのときに外国語を覚えるという感覚というか、新しい言語を習得するってこんなにワクワクするんだと思いました。今までコミュニケーションがとれなかった人と話せることが、とてもうれしかった記憶があります」
――手話の初歩を学ぶNHK「手話シャワー」という番組にも出演しています。
「全国のろう学校を訪れて生徒に手話を教えてもらうという番組でしたが、カメラが回っていないときに他愛もない会話ができない自分がいました。『最近、何がはやっているの?』とか気軽に聞けなかったのがとても悔しかった。手話がもっとできたらいろんなコミュニケーションをとれたなって思いました。自分にとってはとてもいい体験でした」
――2023年秋に応援アンバサダーに就任しました。そのときのお気持ちはどうでしたか。
「デフスポーツに詳しいわけではないし、手話が流ちょうにできるわけでもないので、最初は私なんかに務まるんだろうかとすごく不安で葛藤もありました。でもなじみのある人だけでなく、日本全国の人に東京デフリンピックを応援してもらえるように、何か新しい窓口になれたらいいなと感じて、自分にできることがあるならやってみたいなと思って受けました」
寄り添ってくれる選手たち
――イベントなどに参加して感じたことはありますか。
「いろんなイベントに参加する中で、手話が第1言語なので自分がマイノリティーになる瞬間がとても多かったんです。みんなが何を話しているかわからないという経験をすると、とても不安だったり、自分だけ孤独な感覚があったりします。でもだからこそ、自分の立ち振る舞い方が変わるというか、ろう者の方と話すときにどうやったら伝わりやすいのかなとか、街の中で不便なことはないかなとか、ちょっと(意識が)変わってきた感覚もあります」
――イベントで一緒になった選手たちの印象はどうでしたか。
「アスリートの皆さんは明るくてとてもチャーミングで、手話がわからなくても伝えてきてくれるし、受け手がわからなくても会話ができるように寄り添ってくれました。手話がわからなくてもコミュニケーションが取れるということも、もっともっと多くの人に知らせたいなと思います」
――手話の勉強は続けているんですか。
「いえ、定期的に何か塾に通っていますみたいな感じではないんですけど、NHKの番組である程度の単語は学んだので、それを見返しながらイベントがあるたびにちょっとずつ勉強しています。でも、なかなか理解できないこともあって、自分は単語を紡ぎながらお答えしているぐらいのレベルです。めっちゃ、喋りますっていうわけではまったくないです」
手話、楽しくなってきた
――上達している感覚はありますか。
「あります。最初は手話があっているかもわからないので不安になりながらやっていたんですけど、(聴覚障害を持つ)応援アンバサダーの川俣(郁美)さんが『間違っていたらこんなふうにやるといいよ』と教えて下さるので、ちょっとずつやる方も楽しくなってきました。増えた単語で挑戦してみようかな、みたいなこともあります」
――アンバサダーとして今後、どんな活動をしていきたいですか。
「まずはデフリンピックを広めていくことを重点的にやっていきたいです。あとはアスリートの皆さんがあと1年を切っているということで、ちょっとずつ本腰を入れて準備していく期間に入っていくと思います。皆さんの背中を押せるように1人でも多くの人を巻き込んで応援につなげていけたらいいなと思います。そのためにSNSや自分ならではの発信するツールを使って広報活動をしていけたらと思っています」
ながはま・ねる 1998年9月4日生まれ。長崎市出身。アイドルグループ「
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