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千葉工大の学生製造の人工衛星、太陽「活発化」で燃え尽きる…「もう少し長く運用したかった」

読売新聞 / 2024年12月14日 11時0分

超小型衛星の落下について説明する原田研究員(左)(6日、千葉工大で)

 太陽活動が活発化している影響で、高度数百キロ・メートルの地球低軌道を回る人工衛星の落下が相次いでいる。千葉工業大学(千葉県習志野市)の学生たちが製造した超小型衛星も、2機が宇宙放出後2~4か月で大気圏に降下して燃え尽きた。学生たちは「もう少し長く運用したかった」と残念がっている。(芝田裕一)

 同大では宇宙産業向けの人材を育てるプログラムで、学生たちが超小型衛星の製造に取り組んでいる。これまでに「KASHIWA」「SAKURA」「YOMOGI」の3機を製造し、宇宙空間で運用してきた。いずれも、1辺が10センチの立方体で、設計時の耐用年数(設計寿命)は約1年間と想定されていた。

 だが、3月に打ち上げられた「KASHIWA」は、8月5日に運用を停止。運用期間は4月11日からの4か月弱にとどまった。8月に打ち上げられた「SAKURA」も11月に燃え尽き、運用期間は3か月に満たなかった。

 背景には、太陽活動の活発化がある。米航空宇宙局(NASA)などによると、太陽は活動が活発になる「極大期」に入っており、表面の爆発現象「フレア」が発生しやすくなっている。

 極大期では、太陽から降りそそぐ高エネルギーの粒子やガスによって通信障害などが発生するほか、大気が暖められて上空に膨張する。その結果、衛星の空気抵抗が増して速度が落ち、地球の重力に引かれて落下してしまうという。

 「KASHIWA」と「SAKURA」の2機は、動作確認や無線家との交信などは達成したが、メインの目的だった地球の撮影はうまくいかなかった。「KASHIWA」のプロジェクトマネジャー(PM)だった関口智礼さん(23)は「真っ暗な画像や真っ白な画像ばかりだった」と残念がる。搭載カメラの測光方法などに問題があったとみられるという。

 「SAKURA」PMの林和輝さん(23)も「衛星が落ちるのが早くて、やり残したことが多い」と悔しがった。

 極大期は来年も続くと予想され、今月9日に宇宙に放出された「YOMOGI」も短期間しか運用できない見通しだ。指導した同大惑星探査研究センターの原田徹郎研究員(40)は、「KASHIWAなどプログラムの第1世代の衛星では、技術にまだ未熟な点が多かった」と指摘。第2世代となる5号機(2027年6月打ち上げ予定)以降は、カメラの撮影モードをオートからマニュアルに切り替えるなどの改良を試みるという。

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