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相次ぐクマによる人身被害、自治体が対策拡充…襲われた住民に見舞金・猟銃用ライフル射撃場の整備も

読売新聞 / 2024年12月14日 5時0分

クマが店内に居座ったスーパーで、専用の装備で活動する警察官(11月30日、秋田市で)=菊池蓮撮影

 クマによる人身被害が相次ぐなか、各自治体がクマの市街地出没や被害を減らそうと、対策を拡充させている。警察官の防護装備の導入、果樹の伐採、ハンター用のライフル射撃場の整備など、地域の事情に応じた取り組みに力を入れる。国も新たな交付金を設けて支援に乗り出している。(秋田支局 池田航大、新潟支局 岩瀬詩由)

 先月末に従業員を襲ったクマが2日間にわたって居座りを続けた秋田市のスーパーで、警戒や突入にあたった警察官は、専用の装備を身につけていた。

 ヘルメットはフルフェース型で、上半身や前腕部を覆う防護衣と手袋は、クマに引っかかれたり、かみつかれたりした場合に備えて頑丈な素材が使われている。

 5月に秋田県鹿角市で警察官2人がクマに襲われた被害を契機に、県警が配備した。山本哲也本部長は「下半身を守る装備の導入も検討する」と語る。

 秋田県では昨年度、全国最多の70人が人身被害を受け、被害の9割近くが生活圏で発生した。県は今年7月以降、16市町村の計29か所でクマが好む果樹の伐採や、やぶの刈り払いを実施。クマに襲われた住民に10万~30万円の見舞金を給付する制度も新設した。県自然保護課の千葉崇課長は「注意しても遭遇してしまう場合がある。見舞金は改めてクマの怖さを認識してもらう意図もある」と説明する。

 新潟県は今年、新潟市内に猟銃用のライフル射撃場を初めて整備した。ライフル銃は射程が長く、大型の害獣を捕獲するのに安全面から有効といい、ハンターの技術向上を急ぐ。

 インターネット上に公開している「クマ出没マップ」も充実させ、県内全域に120台設置した自動撮影カメラの情報や捕獲情報などを追加。県の担当者は「住民への注意喚起や自治体によるやぶの刈り払いなどに役立ててほしい」と訴える。

 人身被害の深刻化で、国はクマを計画的に捕獲し、頭数を管理する「指定管理鳥獣」に追加した。環境省は都道府県向けの交付金を新設し、23道府県(12月13日現在)が活用している。長野県は交付金を使って、住民に対策を助言する専門家の派遣を進めている。クマの出没多発地域で自治体職員や猟友会員らが巡回や捕獲を担う対策チームも結成した。

 環境省の担当者は交付金について「クマの生息や被害の状況は地域ごとに異なる。それぞれの課題に有効活用してほしい」と呼びかけている。

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