大阪・四條畷市長選で全国8年ぶり電子投票へ…市販のタブレット端末使用で「話題性もある」
読売新聞 / 2024年12月14日 9時45分
全国で8年ぶりに電子投票が導入される大阪府四條畷市長選と市議補選が15日、告示される。市選挙管理委員会は投票が簡単にできるとアピールし、投票率の上昇に期待する。
市販機の安全性能向上で導入
電子投票は2002年施行の特例法で地方選に限り可能になったが、システムトラブルへの懸念などから手を引く自治体が相次いだ。総務省は普及に向けて20年3月に運用指針を見直し、事実上、専用機に限っていた端末に市販機も活用できるよう緩和した。市販機の安全性能が向上したことを受けた措置だ。緩和後初となる今回は、市販のタブレット型端末が使われる。
市選管は、市のホームページに投票の流れを50秒で紹介する動画をアップしている。タッチペンで「投票を開始」をタップし、候補者名を選んだ後、「投票する」を選択すれば完了する。投票のたびにロックがかかり、職員がパスワードを入力して解除する。投票記録はUSBなどで保管し、開票所に設置された4台のパソコンに抜き差しして集計する。
市選管は「話題性もあり、多くの人が投票に来てくれるのでは」としている。前回市長選の投票率は44・45%。
導入費用は約4500万円で、開票作業は前回選より40分短い約1時間を見込む。開票にあたる職員は3分の1の26人に減るが、投票所の職員はパスワード入力などで従来より増員する。
投票日は22日で、16~21日の期日前投票も電子投票で実施される。
東修平市長「有権者の意思明確化」
電子投票の導入を進めた四條畷市の東修平市長に、狙いや安全対策を聞いた。
――電子投票の意義は。
有権者の意思の明確化が一番だ。電子投票は、書き間違えて無効票になったり、同じ姓や名前の候補者の間で案分票が生じたりすることがなくなる。高齢者からは「手が震えて字が書けないから投票に行きたくない」という話を聞く。画面タッチで済むのなら、投票に行こうと思うかもしれない。開票作業が短縮され、職員の働き方改革にもなる。
――2003年の岐阜県可児市議選では、集計用のサーバーがダウンし、投票ができなくなった。
今の技術からは考えられないミスだ。今回は、投票用のタブレット端末と集計用のパソコンは、ネットワークにつながない「スタンドアロン型」を採用した。過去の失敗の防止策は確実に取られている。
――費用対効果は。
有権者が意思を示すことに対する投資だ。今回だけで考えると決して安い費用ではないが、どこかが挑戦しなければ物事は前に進まない。成功すれば、関心を持つ自治体は増える。スケールメリットが大きくなれば費用も減る。
――ネット投票についてはどう考えるか。
有権者が自分の意思をきちんと示すことができるのか、懸念が強い。例えば高齢者の自宅で、やり方を教えてあげると言って投票を誘導する恐れがある。ネット投票は、電子投票の成功が前提にはなるものの、まだまだ壁がある。
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