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仮装身分の捜査 闇バイト強盗の摘発に生かせ

読売新聞 / 2024年12月15日 5時0分

 「闇バイト」に応募した若者らによる強盗事件が相次ぎ、社会の不安が高まっている。警察は、様々な捜査手法を駆使して摘発してほしい。

 その一環として、警察庁は、捜査員が架空の人物になりすまして闇バイトに応募する新たな捜査手法の導入を検討している。「仮装身分捜査」と呼ばれ、来年の実施を目指すという。

 犯行の手口は、まずSNS上で闇バイトを募り、応募者に運転免許証の画像を送らせた上、参加を断ると「危害を加える」などと脅して犯罪の実行に加担させる。

 新たな捜査手法では、捜査員が応募者を装い、偽の住所が記された免許証などを送信する。

 その後、強盗の実行役になりすまして犯行グループに接触を試みることが想定されている。民家に押し入る前に他の実行役らを逮捕できれば、事件を未然に防ぐことができるだろう。

 近年、SNSでつながって離合集散を繰り返す「匿名・流動型犯罪グループ」(トクリュウ)が暗躍している。闇バイトは、そのメンバー集めに利用されている。

 本紙のまとめでは、闇バイトによる強盗事件などは8月以降、6都道県で20件を超え、50人以上の男女が逮捕されている。その8割は20歳代以下の若者だ。

 捜査員による潜入捜査が奏功すれば、若者らが闇バイトに応募することをためらうようになる可能性がある。犯罪の抑止効果も大きいのではないか。

 闇バイトの応募者は、強盗の実行犯や逃走車の運転手、凶器の準備役など役割を分担している。

 犯行の指示役は秘匿性の高いアプリを使い、離れた場所から具体的な犯行の手順を命じる。そのため、実行役を逮捕しただけでは指示役にたどり着くのは難しい。

 捜査員が身元を偽る捜査の導入は初めてだ。入念に準備をし、指示役の特定を含め、犯行グループの全容解明につなげてほしい。

 仮装身分捜査に取り組むにあたり、捜査員の身の安全をどう守るかが課題になる。犯行グループとのやりとりの中で捜査員であることが発覚し、本人や家族に危険が及ぶことがあってはならない。

 いつ実行役の摘発に踏み切るかも検討が必要だ。犯行前の早い時点で摘発に踏み切れば、重い罪に問うことは難しい。一方、ぎりぎりの段階になれば、狙われた被害者の安全が脅かされかねない。

 どのように運用していくのか、詳細な指針を策定し、捜査員の研修を重ねることが重要だ。

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