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日本の化粧品大手、中国の消費減速や現地メーカー台頭で苦戦…グローバル・サウス開拓の動きも

読売新聞 / 2024年12月15日 22時38分

苦境が続く日本ブランドの化粧品売り場(12月、北京市内で)

 日本の化粧品大手が中国市場で苦戦している。かつては高い成長が見込める市場として重視してきたが、不動産市況の悪化に伴う消費減速に加えて、現地の化粧品メーカーの台頭もあり、売り上げが減少している。新たにグローバル・サウスなどで市場開拓を目指す動きも出てきた。(岡田実優)

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 「かつてほどの急成長は見込めない」。資生堂の藤原憲太郎社長は11月下旬、2026年までの2か年計画の発表会で、中国事業の伸び悩みに言及した。

 資生堂の24年1~9月期連結決算(国際会計基準)は、中国事業の売上高が前年同期比2・4%減となった。特に中国人が国内でも免税制度を使えるリゾート地・海南島は化粧品の一大消費地だが、売上高は30%超も減少した。

 この影響で、24年12月期の連結業績予想の最終利益を従来予想から160億円少ない60億円に下方修正した。藤原氏は「中国は中長期的に見れば巨大な消費市場。提供できる新しい価値はまだたくさんある」と述べたが、具体的な打開策には触れなかった。

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 資生堂は長く中国事業を「成長エンジン」と位置づけてきた。1981年から中国の国営デパートなどで販売を開始。中国専用ブランド「オプレ」が過去の五輪で中国選手団の公式化粧品に認定されるなど認知度は高い。2017年12月期の売上高は1兆円を超えた。

 だが、22年頃から不動産市況の悪化の影響で消費が鈍化。さらに「花西子(フローラシス)」や「ズーシー」といった中国発ブランドの人気が高まった。「若年層を中心に自国品を使おうとする動きが強まり、消費低迷と中国ブランドとの競争激化というダブルパンチとなっている」(化粧品大手幹部)との声も上がる。

 資生堂以外の大手も同様だ。コーセーや花王の24年1~9月期は、中国を含むアジアでの売上高が前年同期比で2割以上も減少。ポーラ・オルビスホールディングスの7~9月期も中国での不調が響き、海外売上高が10%減となった。

 財務省の貿易統計によると、日本から中国への化粧品輸出額は急増し、21年には3709億円を記録した。しかし、その後は減少に転じ、23年は2813億円だった。24年1~10月は1883億円にとどまっている。

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 中国事業の立て直しに有効な手を打てない中、東南アジアやインドなど他の新興国市場に活路を見いだす動きもある。

 コーセーはタイの化粧品会社「ピューリ」を約130億円で子会社化する。ボディークリームやヘアケア商品などの高級ブランドを強みとする。小林一俊社長は今月10日の記者会見で「グローバル・サウスでの販売を強化していく。今後も積極的に事業提携や買収を進めていく」と述べた。

 マンダムも今後、インドや中東などへの進出を目指す。西村健社長は「肌や髪の質感が違う地域への進出は比較検討すらしてこなかったが、次の一手を打つ必要がある」と話す。大和総研の斎藤尚登経済調査部長は「中国一辺倒の経営はリスクも大きい。インドやアフリカといった新しい市場の開拓が必要だ」と指摘する。

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