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丸木位里、俊夫妻の「原爆の図」が巡回展示へ…収蔵美術館の学芸員「ノーベル平和賞で再評価されれば」

読売新聞 / 2024年12月15日 20時52分

「原爆の図」について解説する岡村学芸員(5日、埼玉県東松山市で)

 ノーベル平和賞の候補にもなったことがある画家の丸木位里いりとし夫妻が描いた「原爆の図」が来年秋から、収蔵美術館の改修に合わせて国内外を巡回展示されることになった。日本原水爆被害者団体協議会(被団協)の平和賞受賞で核問題に注目が集まる中、同館は「多くの人に被爆の惨状を伝えたい」としている。(川越支局 有沢ゆうり)

 丸木夫妻は原爆投下直後に親族宅がある広島に入り、約1か月間、安否の確認に追われた。原爆の図はこの時に見聞きした惨状などを基に描かれ、32年かけて全15作を完成。1作あたり縦1・8メートル、横7・2メートルある大作で、被爆者の苦悶くもんを墨の濃淡で生々しく浮かび上がらせている。

 長崎原爆資料館(長崎市)で展示する15作目「ながさき」を除く14作は、埼玉県東松山市の「原爆の図丸木美術館」が収蔵する。同館は1967年に丸木夫妻が平屋を建てたのが始まりで、増築を重ねて現在は木造と鉄骨が交じる2階建て。老朽化で湿度調整も難しくなり、同館は来年9月末から2027年春まで休館して改修することにし、その間に作品を積極的に貸し出す。

 来年は戦後80年の節目で関心は高く、国内の美術館など3団体と交渉が進み、来年11月から翌年3月は豪・クイーンズランド州の美術館で8作が並ぶ展示会も決まっているという。海外での大規模な展示会はほぼ10年ぶりという。

 原爆の図は1950~60年代を中心に展示会が多く開かれ、これまで国内160か所超、国外も20か国超を回った。ピカソなどの反戦画に匹敵すると評価され、95年にはニューヨーク州立大教授の推薦で、丸木夫妻が平和賞の候補に挙げられ、大きな反響を呼んだ。

 丸木美術館の岡村幸宣学芸員(50)は「作品は時代を超え、核兵器の脅威を考えさせる。被団協の受賞を機に、世界で再評価されるといい」と話している。

丸木位里、俊夫妻=位里氏は1901年に広島県で、俊氏は12年に北海道で生まれた。それぞれ水墨、油彩の画家として活躍し、41年に結婚。戦争や公害を長年題材にし、作品に「沖縄戦の図」「アウシュビッツの図」「水俣の図」など。95年に位里氏、2000年に俊氏が亡くなった。

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