「DOW JONES 読売新聞 Pro」不確かな時代に先を読む重要性…海外発信を強化、日本の成長後押し
読売新聞 / 2024年12月17日 5時0分
読売新聞社と米ダウ・ジョーンズ社が来春に創刊する「DOW JONES 読売新聞 Pro」は、国内外の幅広い分野で起きている最先端の動きを追いかけ、「今」の先にある「これから」を考える企業の経営判断や組織の意思決定を支援します。また、国内の企業や組織の活動を海外に正確に発信して日本への理解を促進し、日本全体の成長を後押しする役割を果たしたいと考えています。
配信サービス 新たな柱に
海外に活躍の場や成長の機会を求める企業や組織の動きが拡大し、日本のメディアが海外で果たすべき責任が一段と重くなっています。デジタル空間に情報があふれる中、伝えたい情報を届けたい相手に向けて発信したいという要望は、さらに大きくなるはずです。
英字紙「The Japan News」(ジャパン・ニューズ)」を発行している読売新聞社の海外への発信力は、高いブランド力があるダウ・ジョーンズとの今回の提携で大幅に高まります。
新しく柱になるのは、ダウが提供しているニュース配信サービス「ダウ・ジョーンズ・ニュースワイヤーズ」です。米欧を中心に、大手金融機関や投資銀行、資産運用会社、政府機関など、数多くの契約先を持っています。
今後は新しい体制で日本の姿を海外で正確に、幅広く伝え、日本の成長力や海外での日本の存在感を高めることに貢献していきます。
企業・組織との相乗効果
「海外投資家に説明する場があまりないと感じている」「『もっと海外に発信しなくてはいけない』と言われるが、その
読売新聞社は、第三者の立場からの視点を生かした報道で、こうした課題の改善に貢献したいと思っています。それぞれの組織が独自の視点で行う情報発信との相乗効果で、利用者が知りたいことを多面的に理解しやすくなるはずです。
日本に関する記事が、日本メディアの視点で海外に広く発信される意味も大きいと考えています。
きめ細かい取材で背景事情や価値観などを深く理解した記事を届けることで、外部の視点を特徴とする海外メディアの記事と異なる独自性があるとして、海外で評価されるようになることを目指します。
記者2500人 現場から速報
「DOW JONES 読売新聞 Pro」の最大の特徴は、国内外の約2500人の記者の取材成果を伝えるスピードです。
日々の取材を積み重ね、そのエッセンスを凝縮した記事を掲載している読売新聞や、それを柱とする読売新聞オンラインに対して、新サービスは記事の裏側にある、取材現場の様々な動きをリアルタイムで伝えていきます。
最先端の動きは細分化され、専門性が高く、現場さえ手探りで進んでいることも珍しくありません。こうした局面を読み解くため、外部の専門家やベテラン記者の分析・解説記事を組み合わせながら、ニュースへの理解やさらなる思考を深めるきっかけを提供します。
海外発のニュースも豊富にそろっています。ダウ・ジョーンズは英語と日本語で記事を配信し、生成AI(人工知能)による自動翻訳も利用して高い速報性を実現します。
ダウ 140年超の歴史
ダウ・ジョーンズは1882年に、チャールズ・ダウとエドワード・ジョーンズ、チャールズ・バーグストレッサーの3人がビジネス情報をニューヨークの株式市場に伝えるために創設したのが始まりです。
当初はニュースレターを発行し、89年にウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)を創刊しました。1971年にデスクトップ端末へのニュース配信サービスを開始、96年にはWSJの有料サイトを開設するなど最新技術の活用に積極的です。2007年に米ニューズ・コーポレーション傘下に入りました。
現在はニューヨークとロンドン、スペイン・バルセロナ、シンガポールに編集拠点があり、世界各地に専門記者がいます。WSJはビジネスや金融、一般ニュースを提供し、ダウ・ジョーンズ・ニュースワイヤーズは機関投資家や金融機関、企業に様々な業界のニュース、各国政府や規制機関、中央銀行の動向、分析記事を配信しています。
メディア変動の波
国境をまたぐメディアの再編や連携は2000年代後半から活発化しています。カナダのトムソン・コーポレーションは08年に英ロイター・グループと経営統合し、トムソン・ロイターが誕生しました。当時は、電子事業の強化が課題でした。
スマートフォンの普及でデジタル化が進み、欧米で先行したメディア界の変動は日本語圏にも広がっています。
日本経済新聞は15年、英経済紙フィナンシャル・タイムズ(FT)の発行会社を買収しました。FTが強みを持つデジタル分野のノウハウを生かし、アジアの企業情報の提供サービスを強化することが狙いでした。
TBSテレビは今年、報道配信を強化するため、米ブルームバーグと提携し、日本語で経済・金融分野の記事や動画を配信するニュースサイトを始めました。両社は国内外で開かれるビジネスイベントなどでも協力していく予定です。
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