iPS細胞から作った精子と卵子の受精、条件付きで容認へ…「科学的・社会的に意味がある研究のみ」
読売新聞 / 2024年12月16日 21時21分
政府の生命倫理専門調査会は16日、人のiPS細胞(人工多能性幹細胞)やES細胞(胚性幹細胞)などから作った精子と卵子を受精させる研究を条件付きで認める方針を決めた。研究は現在、国の指針で禁止されているが、調査会は培養期間を14日までとするなど条件を定め、指針改定に向けた報告書をまとめる。
受精卵を使う研究は不妊症や先天性疾患の原因解明などに役立つことが期待され、不妊治療で使われずに余った受精卵(余剰胚)が使われてきた。一方、iPS細胞などから作製した精子や卵子を受精させる研究は、そもそも精子や卵子を作製したという報告例がなく、国も禁止している。
ただ、近年はマウスのiPS細胞由来の精子と卵子から別のマウスが誕生するなど研究が急速に進展。人でも応用される可能性が高まったとして調査会が議論を本格化させている。
この日の議論では、幹細胞由来の精子と卵子を受精させたものは「人の受精卵(余剰胚)と同じく、胎内に移植すれば胎児となり誕生し得る存在」と位置付けた。その上で、受精を認めるかどうかについては「科学的・社会的に意味がある研究についてのみ認めるべきだ」として一致した。
さらに、余剰胚研究と同様の規制を設ける方針も確認。具体的には、〈1〉培養期間の上限は苦痛を感じる神経が発生するとされる14日までとする〈2〉人や動物の胎内への移植を禁じる――ことなどで、罰則を設けるかどうかなどは今後の議論で決めるとしている。
◇
幹細胞から生殖細胞をつくる研究に取り組む京都大の斎藤通紀教授(細胞生物学)は「早ければ5~10年以内には、人の幹細胞から精子や卵子が作られるようになるだろう」と推測。「不妊症や先天性疾患の原因解明には人の発生初期の状態を知ることが非常に重要で、受精容認は適切な判断だと思う」と話した。
この記事に関連するニュース
-
iPS受精卵作製研究容認へ議論 政府の生命倫理専門調査会
共同通信 / 2024年12月16日 17時54分
-
ヒト胚モデルの研究、指針で初の規制へ 内閣府専門調査会が報告書
毎日新聞 / 2024年12月16日 15時17分
-
ヒトiPS細胞から管状のミニ腸作製 世界初 東京科学大
毎日新聞 / 2024年12月11日 1時0分
-
ヒトiPS細胞間での染色体導入を実現~ヒトiPS細胞を用いた疾患機序解明や再生医療研究への応用を期待
Digital PR Platform / 2024年12月6日 14時5分
-
長寿研究のいまを知る(12)細胞のリプログラミングはどこまで進んでいるのか
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年12月5日 9時26分
ランキング
-
1現場近くの小学校、4分の1の児童が欠席 北九州2人死傷、広がる不安
毎日新聞 / 2024年12月16日 19時14分
-
2北九州中学生2人死傷 逃走の男性は黄色のサンダル着用か
毎日新聞 / 2024年12月16日 16時10分
-
3太陽光パネルのリサイクル、義務化へ 費用は製造業者らの負担に
毎日新聞 / 2024年12月16日 19時5分
-
4インフルエンザ感染急拡大も「薬が足りない」 患者数は1週間で2倍「診察の予約とれない」の悲鳴
J-CASTニュース / 2024年12月16日 12時10分
-
5斎藤知事らへの告発状、県警と地検が受理 PR会社の報酬巡り捜査へ
毎日新聞 / 2024年12月16日 20時25分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください