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護衛艦共同開発 豪州との安保協力の弾みに

読売新聞 / 2024年12月17日 5時0分

 日本と豪州で護衛艦を共同開発することができれば、相互に運用する能力が高まり、海洋の安全を守る体制を強化できるだろう。政府は受注に向けて、必要となる対策を講じなければならない。

 護衛艦の共同開発計画は、豪政府が今年2月に発表した。2030年頃に新型艦艇11隻を海軍に導入する予定で、日本、ドイツ、スペイン、韓国の4か国を共同開発の対象国に挙げた。先月には、協力相手を日独に絞り込んだ。

 中国が東・南シナ海や太平洋島嶼とうしょ国周辺で覇権的な活動を強めるなか、日豪が同じ護衛艦を運用し、警戒監視などの対処能力を向上させる意義は大きい。

 補修や点検はどちらの国でもできるし、制服組同士が連絡を密に取ることも可能になる。日豪の防衛協力の深化が期待される。

 ただ、受注競争に勝つのは容易ではない、との見方がある。

 日本は、22年に海自への配備が始まった「もがみ」型護衛艦を基にした新型艦を、豪州と共同開発する構想を掲げている。

 もがみ型は、操艦作業や各種機能を自動化し、従来の半分程度の90人で運用することが可能となった。機雷除去能力やステルス性能を備えている点も優れている。

 一方、ライバルのドイツがベースとする艦船は、もがみ型よりレーダーの探知能力が高いとされ、遠方からでも脅威となる艦船を明確に認識できるという。

 もがみ型の探知能力の向上は急務だ。現在の開発企業が対応できない場合、知見のある企業との協力を強化してはどうか。

 日本は以前、豪州の次期潜水艦の共同開発構想に手を挙げたが、受注を逃したことがある。当時受注に成功したフランスは、豪州内で大規模な雇用を確保する、と強調したとされる。

 政府は同じてつを踏まぬよう、護衛艦の開発がもたらす経済効果を強調していくべきだ。豪州に生産拠点を設け、技術者の養成や雇用に貢献すると訴えていきたい。

 装備品の共同開発を巡っては、日英伊で35年頃の配備を目指す次期戦闘機の計画に、サウジアラビアを加える案が浮上している。

 日本は、サウジが中東の紛争と無縁ではいられない恐れがあるとし、加入に慎重だったが、産油国の資金力に期待する英伊の意向で「パートナー」としてサウジを参画させる方向が決まっている。

 資金力だけで安保協力の相手を選ぶのは、平和国家として歩んできた日本にふさわしくはない。

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