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奥能登でぜんそく・気管支炎・肺炎が急増、ネズミのふん・粉じん原因か…悪化で金沢に転院も

読売新聞 / 2024年12月17日 15時27分

穴水総合病院の外来患者数の推移

 能登半島地震や9月の大雨で大きな被害を受けた石川県の奥能登地域で、ぜんそくや気管支炎の患者が急増している。地震前と比べて1・5~2・5倍となった地域もある。医療関係者は、がれきの片付けなどでほこりや粉じんが舞っていることが影響したとみて注意を呼びかける。(金沢支局 若松花実)

 輪島市で木製品や漆器を製造販売する「輪島キリモト」の代表(62)は9月中旬、ぜんそくが再発したと診断された。

 元日の地震後は工房の片付けに追われ、4月以降は「輪島の復興のために」と全国の催事に赴いた。その後、呼吸が細くなり酸素が入ってこない感覚と熱っぽさもあったが、「病院に行っている場合じゃない」と休まなかった。

 だが、家族の勧めで受診したところ、医師から「震災によるストレスと疲労が原因で、症状が悪化している」と説明された。代表は「マスクを着けて気をつけるしかない」と肩を落とした。

 穴水総合病院(穴水町)で1~8月にぜんそくと診断された患者は144人で前年同期の1・7倍に増えた。急性気管支炎は2・5倍の159人、急性肺炎は1・5倍の194人となった。別の病院でも呼吸器疾患の患者が急増し、悪化した患者に金沢市の病院へ転院してもらったケースもあったという。

 診察を担当する穴水総合病院の石崎武志・能登北部呼吸器疾患センター長によると、ねずみのふん、建設資材の粉じんなどを吸い込んだことが原因の一つとみられる。夏場に微生物や細菌も活発化するなか、被災者らがマスクを外していたことも影響したとみる。

 自らも仮設住宅で暮らす石崎センター長は「生活再建を優先し、悪化するまで受診しないケースが多い。せきや喉の痛みなどが2、3日続く程度でも、呼吸器疾患の可能性がある」と話す。マスクの着用やこまめな水分補給、鼻呼吸など基本的な予防の徹底を呼びかけている。

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