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「着る布団」をCFで世界に広めよう…はんてんは「環境配慮の日本製ジャケット」とアピール

読売新聞 / 2024年12月18日 17時41分

欧米で注目された袖なしはんてんを着た吉開社長(右)

 福岡県筑後市の「宮田織物」が、“着る布団”とも言われる綿入れはんてんや足袋ソックスなどの市場を海外に広める活動に取り組んでいる。欧米をターゲットにインターネットを活用して実施したクラウドファンディング(CF)では、30万円の目標額に対し約235万円の寄付(資金)が集まった。同社は「海外の若い人たちから予想以上の反響があった。海外で受け入れられる商品を用意して事業化につなげたい」と意気込んでいる。

 筑後地区には、昔から伝わる「久留米織」の多くの織元が集中していたことから、「筑後織」と改称して現在も商品を生産している。宮田織物は大正時代に創業。伝統工芸の魅力を伝えたり、大学生らと一緒に若者向けの商品開発に取り組んだりしている。

 同社は、海外のアーティストがつま先が分かれた足袋ソックスなどを着用し、注目が高まっていることなどを受け、日本の伝統工芸である筑後織の魅力をアピールしようと、今年7月~9月にCFを行った。

 CFを募るSNSでは、英語で同社の歴史や綿製品の良さなどを紹介。環境に対する考え方では、製作の過程で出る端切れなどを再利用していることにも触れた。また、特に既製のはんてんの中から、袖部分がなくて動きやすく、洋服と合わせることが簡単なポンチョ形はんてんを「伝統と現代ファッションを融合し、環境に配慮した手作りの日本製ジャケット」としてアピールした。

 このほか、クランベリーピンクやミッドナイトブルーといった自然な色合いのはんてんを着た海外の若者モデルたちが、京都でダンスしたり、楽しそうに散策したりしている動画も使用。軽くて動きやすく、街中でもおしゃれに着こなせることを伝えた。デザインから、織り、裁断、縫製、綿を手作業で均一な厚さにして、手縫いで仕上げる様子も写真を使って説明した。

 CFは、資金調達だけでなく、北米を中心にした海外での市場調査も兼ねて実施。関心を持った人たちが、寄付金に応じてSNSで紹介しているはんてんなどを注文した。

 CFでは米国、豪州、英国、スペイン、フランス、ベルギー、カナダなど16の国・地域から計60件の注文があった。半数は米国からで、「袖なしはんてんを注文した。複数のアイテムを入手できるようにしてほしい」といった意見も寄せられたという。

 吉開ひとみ社長(63)は「日本の伝統工芸に予想以上に関心があることがわかった。さらに商社などと連携して調査を進め、海外で売れる製品を開発し、輸出できるようにしたい」と話している。

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