特殊詐欺防止へ録音電話購入希望の高齢者、警察署員が電気店へ送迎…使い方サポートも
読売新聞 / 2024年12月18日 18時55分
特殊詐欺被害の防止につなげようと、兵庫県警三田署は、録音機能付き電話機の購入を希望するお年寄りを電器店まで送り迎えするなどのサポートを展開している。この電話機の普及促進事業を進める三田市に協力するためで、同署によると、県内の警察署では唯一の試みだという。(竹村文之)
録音機能付き電話機は、電話があった場合、呼び出し音が鳴る前に、かけてきた相手に通話内容を記録することを自動音声で伝える。この時点で相手が切れば、電話に出ずに済む。三田署によると、詐欺グループは声などが残るのを嫌がるため、被害を防ぐのに効果が期待できるという。
市は今年度、電話機の購入補助費用として600万円を予算化。高齢者のいる世帯を対象に、上限1万円(外付け録音機は上限5000円)を補助している。
三田署は事業に協力する方法を検討し、交通の便が悪い農村部があることに着目。10月から電器店への送迎を始めた。署員が一緒に店員の話を聞くほか、家庭での設置や使い方を説明し、市消費生活センターに提出する補助金の申請書の書き方も教える。
普及促進事業は県の事業で、県内ほぼ全ての市町が一斉に取り組んでいるが、警察署がここまで手厚くバックアップしているケースはないという。
口コミなどで希望者は増え、これまでに30軒超が三田署が実施するサービスを受けた。市北部で一人暮らしをする女性(88)も駐在所員の勧めで購入。20キロ近く離れた電器店まで署員に送迎してもらったといい、「免許証を返納していたので、ありがたかった」と感謝する。設置後、不審な電話が減ったと話す。
市消費生活センターによると、補助を受けたのは543軒(12月11日現在)。予算枠は埋まりつつあるといい、桜井かおりセンター長は「三田署によるサポートによるところも大きい」と話す。
2020年度の国勢調査では、市内の高齢者のみの世帯は約9000軒。三田署生活安全課の小平宝生課長は「今後も、あの手この手で特殊詐欺を防ぎたい」とする。問い合わせは市消費生活センター(079・559・5032)。
高齢の女性(左)に録音機能付き電話機の説明をする三田署員(三田市で)
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