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小泉今日子さん、いい意味での「おばさん道」…「シニア」じゃなく「ビンテージ」

読売新聞 / 2024年12月18日 15時52分

トークライブを終え、客席に手を振る小泉今日子さん(11月26日、札幌市中央区で)=古厩正樹撮影

 歌手、俳優、プロデューサーとして活躍する小泉今日子さん(58)の講演会「小泉今日子トークライブ」(読売新聞北海道支社主催)が11月26日、札幌市中央区の共済ホールで開かれた。読売新聞の書評欄「本よみうり堂」で2005年から10年間、読書委員を務めていた小泉さんが、人や本との「出会い」、歌や舞台などに対する思いを語った。来場者らから好評だった小泉さんのトークを詳報する。

「小泉今日子トークライブ」詳報<4>

<第2部の後半は、小泉さんが同年代に向けた活動、若い世代への思い、世の中のアプローチについて語った。(聞き手は、村田雅幸・読売新聞編集委員)>

村田 小泉さんは最近、同世代の方へ向けたイベントをやっていますね。例えば、「BAD MORNING! CLUB(バッドモーニングクラブ)」とか。

小泉 はい。朝8時ぐらいに集まって、いい音楽を聞き、おいしい朝食と朝ビールを楽しんでいます。若い頃に楽しかった時間をもう一度味わおう、でも年を重ねると、夜は眠いし疲れるし。朝だったら、みんな早起きになって、結構時間を持て余していますよね。だから、朝8時から開けてくれるお店でやっています。

村田 「東京 VintAGE Girls(ヴィンテージガールズ)」という活動にも参加していますね。

小泉 スタイリストの安野ともこさんたちとやっています。「シニア」ではない新たな呼び名になったらいいよねと、ビンテージ(古くて価値が高いもの)という言葉を使っています。わちゃわちゃと集まって、いい意味での「おばさん道」を発揮し、お節介なことをやってみる。フリーマーケットをやって能登地震の被災地に寄付をしたりもしました。年明けにはブックフェスみたいなのをやろうと思って今動いています。

村田 小泉さんは同世代をすごく励ましていますが、若い世代との関わりも多いです。若い人たちにはどんな期待を持っていますか。

小泉 今もコンサートには必ず10代、20代の若い人も来てくれますね。私は、自分だけじゃなくいろんな大人を紹介してあげたいんです。例えばミュージシャンなら次はこの人のライブも見に行こうと興味を持って、いろんな文化に触れてもらいたい。世界を広げてあげる大人の一人でいられたらいいなと、いつも思っています。

 今、昭和のアイドルが好きな10代、20代が多いんですよね。コンサートに来た20歳ぐらいの男の子に「どうして来たの?」って聞いたら、「昭和のアイドルでキョンキョンが一番好きだから」って言ったんですよ。ユーチューブなどによって、若い人たちは「時間旅行」が簡単にできて、昭和の私と今の私を同じところに置いている。そういう新しい感覚を肯定してあげたいという思いはすごくあります。

村田 先日のコンサートで、小泉さんが、爆撃で亡くなったパレスチナ人詩人の詩を朗読されていたのが印象的でした。それと、「選挙に行こう」という活動をしたり、政治に関する発言をしたりもされます。日本はなんとなくそういう発言をするのが好ましくないみたいな空気もある中で、怖さはないのでしょうか。どうして発言をするのかも教えてください。

小泉 私たちの世代、というか、私が若かった頃は本当に豊かで、誰かに任せておけば世の中は良くなるって思っていました。それが大人になって、「今もし自分が、この世界をすてきじゃないとか、生きにくいとか思うのだとしたら、それって自分のせいじゃん」と反省した時がありまして。同じ思いを若い人たちにはしてほしくない、自分が思うことは発言しようと決めたんです。もちろん、私と反対の意見の人はいるけれど怖いとは思わなくて。いったん意見を全部並べてみて、みんなでもう1回考えよう、みたいな感じなんです。

村田 小泉さんのコンサートでは、「カーボンオフセットプロジェクト」をやっていらっしゃって。これにも感心しました。

小泉 コンサートを1回やると、1世帯が1年間で消費する量の40倍ぐらいの電力を使ってしまうそうで、消費してしまった分、木を植えたり、森を作ったり、再生エネルギーを作ったりしようというのをやっています。それからセットで使った木材も、産地に戻して、猫のトイレの砂に再生してもらうことにしています。

村田 小泉さんは保護猫を飼っていらっしゃいますよね。

小泉 黒猫を2匹引き取って、うち1匹は死んでしまったんですけど、今は、他界した母が飼っていた三毛猫と、雌2匹で一緒に暮らしています。2匹で私のお膝の取り合いで、もてる男の気持ちになっちゃう感じです。

村田 小泉さんは、なぜ設立した会社に「明後日(あさって)」と名付けたのでしょうか。

小泉 私が「今日子」なので、未来を感じる名前がいいなって思って。ちょうど、舞台を制作できる環境を作ろうと誘った方の名前が「明日子(あすこ)」さんだったので、今日、明日、明後日。出来すぎているけど、本当の話なんです。

村田 「次を見ている」という印象がすごくしますね。

小泉 そうですね。遠い夢じゃなくて、かなえられる夢を託せる未来に、という意味もあります。

村田 では最後に。今後してみたい事はありますか。

小泉 60歳まではコンサートなどの計画があるけれど、その先は白紙にしています。その時に、もっと歌いたいと思うか、俳優を頑張りたいと思うか、文章を書くために籠もろうという気分になるのか、サプライズとして楽しみにしているんです。

村田 私は、白紙になると思うと怖くなるんじゃないかと思います。でもまたそこに新たな何かを書けるかもしれないと思えば、楽しくなるのかもしれませんね。

小泉 しばらく白いままを楽しむのもいいかもしれないし、どこから点を書こうか、線を書こうかとかとやり直しても、きっと楽しいだろうと思っています。

やりたいこと企画、実現幸せ

 会場からも、小泉さんに質問が寄せられた。

――何をしているときに幸せを感じますか。

小泉 私の体のどこかに猫が乗った状態で韓国ドラマを見るのが幸せな状態ですが、今は仕事などに対するアイデアが人生の中で一番ピカピカきている感じがするので、やりたいことを企画して実現していくのが結構幸せです。

――物事を決断する時に大切にしていることはありますか。

小泉 感覚的なんですけど、「これは絶対うまくいく。ピカーン」ってなる時って、本当にうまくいくんです。実は、その前にいろんなことを調べていたり、興味を持ったりして、自分の中でパーツがそろった時に「ピカーン」となる気がします。力ずくで進めようとすることって、あまりうまくはいきません。(高橋敦人、おわり)

◆こいずみ・きょうこ=1966年生まれ。82年にデビューし、歌手、俳優としてテレビ、映画、舞台、CMなどで活躍。2015年、自身が代表を務める「株式会社明後日(あさって)」を設立し、映画、舞台などのプロデュースも手がける。

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