冬の北海道に東アジアから続々…スノーリゾート人気で新千歳空港の国際線が相次ぎ増便
読売新聞 / 2024年12月19日 14時17分
冬の観光シーズンが到来し、新千歳空港に就航する国際線の増便が相次いでいる。来年1月の便数は週267往復で、コロナ禍前を3割近く上回る見込みだ。航空燃料の不足が緩和傾向にあるほか、アジア圏でのスノーリゾート人気が便数増に拍車をかけた。ただ、欧米からの便が再開しておらず、空港側の人材不足も続くなど、観光業の飛躍につなげるには課題も残る。(宮下悠樹)
18日午前8時頃、マレーシア・クアラルンプールとタイ・バンコクからの旅客便が到着し、新千歳空港の国際線ターミナルはスキー板やスーツケースを抱えた人であふれた。マレーシアからツアーで訪れた40歳代の夫婦は「初めて雪を見るので楽しみ」と興奮気味に話した。個人客も目立ち、旅行会社からの委託を受けたタクシー運転手らが並んで出迎えた。3万~4万円ほどの料金で、ニセコやトマムなどのスノーリゾートへ直行する客が多いという。
道航空課は毎年4月と、冬の繁忙期に当たる1月の国際線の状況をまとめている。同課によると、来年1月の運航便数は週267往復で、新型コロナウイルス感染拡大前の2020年1月を55便(26%)上回る。国・地域別では、韓国が110便、中国が54便、台湾が42便など、東アジアが大半を占める。
大韓航空は今月、ソウル便を週7往復から倍増させた。道内で撮影されたドラマ・映画のロケ地を訪れる人が多いという。中国の天津航空も、今月20日から1年ぶりに天津便の運航を再開予定で、便数も週2往復から3往復に増発。担当者は「札幌や小樽で食を、富良野で景色を楽しむなど、インスタグラムで紹介された観光地が人気だ」と話す。シンガポール航空も今月、シンガポール便を4年11か月ぶりに再開した。
国際便が復調する一因は、今夏に表面化した航空機の燃料不足が緩和してきたことだ。空港を運営する北海道エアポート(HAP)によると、国や石油元売り会社などが官民で連携を強めて需要を把握したり、復路の分も燃料を搭載してきた海外の航空会社に対し、HAPが燃費悪化分を
ただ、航空機の誘導といった地上業務を担う「グランドハンドリング」の人手不足は慢性化しており、現在も航空会社の就航希望には完全に応じきれていないという。ロシアのウクライナ侵略の影響で中断した欧州便も再開のめどが立たない状況だ。
道銀地域総合研究所の小野公嗣・主任研究員は「国際便は今後も着実に増え、道内の経済にプラスをもたらすだろう。ただ、空港側の人手不足や、長く続く物価高で日本から海外への旅行需要が高くないといったハードルもあり、どこまで右肩上がりとなるかは不透明だ」と指摘している。
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