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中学生殺傷の容疑者逮捕で「電気を消して眠れなかった」「ようやく子どもと一緒に外出できる」住民安堵

読売新聞 / 2024年12月20日 9時50分

容疑者宅を調べる捜査員ら

 北九州市小倉南区のファストフード店で市立中3年の男女2人が刺され、女子生徒が死亡した事件で、男子生徒に対する殺人未遂の疑いで容疑者が19日に逮捕されたことを受け、自治体や地域住民の間では安堵あんどが広がった。その一方で、若い命が失われたことへの憤りや真相究明を求める声も上がった。

◆行政

 「未来ある若者の命を奪った卑劣な犯行であり、強い憤りを覚える」

 北九州市の武内和久市長は報道陣の取材に語気を強めた。

 同日午前、市役所での定例記者会見中に飛び込んだ容疑者逮捕の一報。「しっかりと確認してから」と午後に改めて取材に応じた。

 武内市長は「逮捕によって市民の恐れや不安が少しでも和らぐことにつながれば」としたうえで、今後も事件でショックを受けた子どもたちの心のケアに取り組んでいく姿勢を改めて示した。「不安な子どもたちの気持ちは一朝一夕に癒やされるものではなく、心のケアをしっかりと進めていきたい」と語った。

 服部知事も「このような犯罪を決して許すことはできない。犯罪被害に遭われた方とそのご家族にできる限りの支援を行い、二度とこのような事件が引き起こされることのないよう、県民の安全・安心を守る取り組みを進める」とのコメントを出した。

◆地元

 事件が地域に与えた衝撃は大きい。現場周辺の住民たちには「サンダルに軽装」という犯人像から「近くに潜んでいるのでは」との懸念が広がっていた。娘と孫の女性3人で暮らしているという小倉南区の60歳代女性は「この5日間、電気を消して眠れなかった。(逮捕まで)私たちにとっては、とても長く感じた」と言う。

 保育園に通う男児2人を持つ近くの30歳代女性は、犯人が近くにいるんじゃないかと思い、夜に買い物に行くことを控えていたという。「ようやく子どもと一緒に外出できるようになった。クリスマスもゆっくり迎えられる」とホッとした表情で語った。

 被害生徒の中学校近くに住む高齢女性は「容疑者が捕まってよかったでは済まされないほど腹が立ち許せない。なぜこのようなことをしたのか。登下校する生徒たちも元気がないように見えてかわいそう」と、子どもたちを思いやった。

 市内の学校では事件の影響で多くの児童・生徒が欠席しており、被害者の中学校の保護者の一人は「子どもたちの心をケアするには、地域の安心が保たれることが大事になる。同様の事件の再発を防ぎたい」と話した。

 市内の幼稚園園長だった70歳代の女性は「夢のある中学生の命を奪い、社会を震撼しんかんさせた罪は大きい。早く真相を明らかにしてほしい。命の尊厳や生きることの大切さを伝える教育の重要性を改めて痛感している」と強調した。

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