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外交交渉取材の実情、「西山事件」法廷で明かす…山川洋一郎弁護士「『取材の自由』守る判例を生み出した原動力は渡辺恒雄氏らの証言だった」

読売新聞 / 2024年12月19日 22時51分

山川洋一郎弁護士(2012年11月20日)

 読売新聞グループ本社代表取締役主筆の渡辺恒雄(わたなべ・つねお)氏が19日、死去した。渡辺氏は、1972年の沖縄返還を巡る外務省機密漏えい事件で国家公務員法違反に問われた元毎日新聞記者・西山太吉氏(故人)の裁判に、弁護側証人として出廷した。

 73年に東京地裁の法廷で外交交渉に関する取材の実情を明かし「発表を待っていたのでは、国民に知らされなければならない交渉経過が永久に報道されずに終わってしまう」と証言。国民の知る権利に応えるために、報道機関が、政府が隠そうとする情報を入手する意義を強調した。

 西山氏の弁護人として法廷で証言を聞いた山川洋一郎弁護士(83)は「ライバル記者の西山氏のために、自らのスクープの経験を踏まえ、国家機密を聞き出す取材の実態と重要性を証言してくれた。非常に説得力があった」と振り返る。

 最高裁は78年の決定で「取材目的で公務員に秘密を教えるよう根気強く執拗しつように頼むことは正当な業務だ」との初判断を示した。山川弁護士は西山氏を有罪とした結論は問題としつつ、「『取材の自由』を守る重要な判例を生み出した原動力は渡辺氏らの証言だった」と強調。「この判例は、現在も国家機密を暴く取材活動を守るもので、渡辺氏の功績は大きい」と話した。

海老沢勝二・元NHK会長の話「自分が外務省担当だった当時、(記者クラブで)休みなく常に机に向かって原稿を書いていたのを覚えている。非常に勉強家で官僚相手に厳しい質問をしていたが、相手を傷つけない配慮が常にあった。口は悪いが心は優しく気配りのできる人物。義理堅い人でもあり、取材相手の名前もしっかり覚えて、記者のあり方の型を作った方だった」

日本新聞協会の中村史郎会長(朝日新聞社会長)の話「ご逝去の報に接し、謹んで哀悼の意を表します。協会長として2000年に21世紀に向けた新たな『新聞倫理綱領』を制定されたほか、新聞経営の根幹に関わる著作物再販制度の維持に全力を挙げられるなど、活字文化の振興に積極的に取り組まれました。長年の新聞界へのご貢献に感謝申し上げます」

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