EV向け次世代電池の本命「全固体電池」、生産強化を補助対象に初認定
読売新聞 / 2024年12月20日 5時0分
経済産業省は、電気自動車(EV)に搭載する次世代電池の本命とされる「全固体電池」の部材製造などに補助金を拠出する方針を固めた。経済安全保障推進法に基づく戦略物資として、全固体電池の生産強化を補助対象に認定するのは初めて。中国からの調達が不安視される物資に関連した補助も行う。
対象は出光興産、三井金属、東洋鋼鈑、三菱ケミカル、智頭電機の5社。計648億円の投資計画に対し、最大255億円を補助する。
このうち全固体電池の部材製造を手がけるのは出光興産、三井金属、東洋鋼鈑の3社。全固体電池は、現在主流のリチウムイオン電池に比べ、1回の充電で走れる距離が長い。トヨタ自動車は2027~28年、ホンダや日産自動車は20年代後半の実用化を目指す。
出光興産は213億円を投じ、千葉県市原市の拠点に全固体電池に必要な硫化リチウムの製造設備を設ける。生産能力は年3ギガ・ワット時分を想定し、27年10月の供給開始を目指す。出光興産はトヨタとEV向け全固体電池の量産で協業している。
三井金属は埼玉県上尾市の研究所で、基幹部材となる硫化物固体電解質の開発や生産技術に198億円を投資する。東洋鋼鈑は28億円をかけて全固体電池向け部材の技術開発を行う。
一方、三菱ケミカルは206億円を投じ、グラファイト(黒鉛)を加工した負極材の生産設備を香川県坂出市の拠点に導入する。黒鉛は中国の輸出規制で調達が不安定となっており、中国以外からの調達を想定する。智頭電機は大阪府門真市で、3億円をかけて電池製造装置の生産を強化する。
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