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与党税制大綱、負担増伴う課題で目立つ先送り…「103万円の壁」見直しで減税ばかりに注目

読売新聞 / 2024年12月21日 8時30分

 自民、公明両党がまとめた2025年度税制改正大綱は、「賃上げと投資が牽引けんいんする成長型経済」への対応を重視したものの、負担増を伴う課題では先送りが目立った。国民民主党の要望を受けた3党協議でも、「年収の壁」見直しに伴う減税議論ばかりに注目が集まり、税収減を穴埋めする財源についての議論は置き去りにされた。(山崎崇史、坂本幸信)

税収減に苦言

 「減収分は赤字国債の増加で賄っていることは事実だ。財源問題は切り離せない」

 自民税制調査会の宮沢洋一会長は20日、103万円の壁引き上げに伴う税収減に苦言を呈した。公明税調の赤羽一嘉会長も「財源も確保しなければ。(3党協議で)責任ある形で結論を出せるように頑張っていきたい」と述べた。

 3党協議で自公は当初、国民民主への配慮を強く示した。そのため、減税による税収減を穴埋めする財源の議論は不十分なままだった。国の24年度の税収見込みは73・4兆円と過去最高を更新する見通しだ。ただ、大綱を基に策定する25年度予算案で、税収減を国債の追加発行で賄うことになれば、財政の健全性がさらに損なわれる。

公明が難色

 大綱では減税メニューが目立つ一方、税負担を求める課題の先送りが目立った。

 高校生年代(16~18歳)の子供がいる親の所得税負担を軽くする扶養控除(38万円)は、縮小する方針を先送りし、26年までは現行制度を維持する。公明が縮小に慎重姿勢を示したためで、26年度以降に「各種控除のあり方の一環として検討し、結論を得る」とした。

 防衛力の抜本的強化に必要な財源を確保するための増税のうち、所得税の開始時期の決定を先送りした。3党が所得税減税に向けた協議を進める中で、公明が「増税時期を決めるのは矛盾する」と難色を示した結果だ。赤羽氏は、「手取りを増やすとか、所得税について前向きに、という中で、間違ったメッセージを送らなくて良かった」と評価した。

来年のテーマ

 来年の税制改正の議論で重要なテーマとなるのが、自動車関連税制の抜本的な見直しだ。課題は大きく分けて二つ。クルマを購入した時と、保有している時の税制だ。

 今回の大綱には、購入時の負担軽減策などを検討すると明記された。購入時に燃費に応じて課税する「環境性能割」を廃止するかどうかが焦点となる。

 保有時にかかる税は、排気量に応じて毎年納める自動車税と、車検時に重量などに応じて納める自動車重量税がある。自動車業界は、二つの税を重量ベースの新たな税目に一本化し、環境性能に応じて税額を増減させる仕組みにするよう訴える。ガソリンを使用しない電気自動車(EV)などの普及が進めば、排気量を基にした税制での対応が難しくなるためだ。

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