学術会議改革 社会に貢献する組織に改めよ
読売新聞 / 2024年12月22日 5時0分
国費の投入を求めながら、政府が人事や運営に関与することを拒否する日本学術会議の身勝手な主張は認められない。
あくまでも改革に反対を続けるというなら、国に一切頼らない組織を自ら作るべきだ。
学術会議のあり方を検討してきた内閣府の有識者懇談会が、最終報告をまとめた。「国の特別機関」という位置づけを見直し、独立した法人に移行するよう求めた。一定の公益性のある業務を担う特殊法人が想定されている。
政府は、学術会議の運営費として年間約10億円を計上している。報告は、法人化後も当面、国に財政支援を続けるよう求めた。
日本の科学者を代表する機関である学術会議は、政策提言を通じて科学技術や産業の発展に貢献する役割が期待されている。
だが、これまで時宜を得た提言をしてきたとは言い難い。本来の責務を果たせるよう、組織を改革することは急務だ。
運営費を支援し続けるにあたっては、新法人に財務や業務を監査する「監事」を置き、外部の有識者が活動実績を点検する「評価委員会」を設置することも提案した。監事と評価委員は、いずれも首相が任命する。
税金を投じる以上、学術会議が予算を適正に使っているかや、社会に役立つ活動を行っているかを政府が点検するのは当然だ。
国から独立した組織となるからには、いつまでも税金を投じるわけにはいかない。新法人発足後、政府は、寄付など外部資金の調達を促していく必要がある。
学術会議を巡っては、会員選考の不透明さが指摘されてきた。
現在、会員の任命権は首相にあるが、それは形式的にすぎず、実際は現会員の推薦に基づいて選ばれている。その結果、研究分野は広がりを欠き、偏った主張の学者が多い、という指摘もある。
懇談会が、外部の意見を幅広く聞くよう求めたのは妥当だ。
ただ、問題はその手法である。報告は、外部の科学者でつくる「選考助言委員会」を新法人に設置するよう提案したが、この委員の人選については、学術会議の会長が決めるという。
会長に選ばれた人が助言するというのでは、会員選考もお手盛りになってしまうのではないか。それでは改革する意味がない。
学術会議を各界の多様な人材が集まる組織とするには、助言委員に産業界からの登用を義務づけるなど、政府が一定程度、関与することが不可欠だ。
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