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ホンダ・日産統合協議、中国事業が「泣き所」…BYD躍進で販売は年々減少

読売新聞 / 2024年12月22日 8時56分

 経営統合に向けて協議しているホンダと日産自動車は、中国事業が共通の「泣き所」となっている。中国BYDの躍進が続く一方、両社の中国販売台数は5年前と比べ約5割減と厳しい状況。両社は23日にも覚書を結ぶ見通しだが、今後の統合協議では世界最大の自動車市場とどう向き合うかが課題になりそうだ。(北京 山下福太郎、向山拓)

BYDが仕掛ける価格競争

 21日、北京市。日産の中国合弁会社「東風日産」の販売店は、週末にもかかわらず客足がまばらだった。展示車両9台のうちガソリン車が7台を占め、ハイブリッド車(HV)が2台、電気自動車(EV)はゼロだ。

 「売れる車がない」(日産幹部)という苦境は中国でとりわけ際立つ。一部のガソリン車は33%の大幅値引きで販売されていた。

 中国はEVやプラグインハイブリッド車(PHV)など「新エネルギー車」が台頭。新車販売に占める比率は約4割と主要国の中でも高い。市場をリードする新エネ車最大手のBYDは今年1~11月の販売台数が約376万台で、前年同期比40%増だった。多くは国内向けで、全てが新エネ車だ。コロナ禍前の2019年比では8倍に急増している。

 対して、ホンダの中国販売は31%減の74万台、日産は11%減の62万台にとどまる。通年では19年比で半分前後に落ち込む見通しだ。BYDが利益を度外視した価格競争を仕掛け、日欧の大手各社がシェア(市場占有率)を奪われる「体力勝負」(日系大手幹部)に陥っている。

中国での生産は合弁会社で運営

 こうした状況を受け、ホンダは中国でのガソリン車の生産能力を、約150万台分から24年度中に約96万台まで縮小させる方針だ。数千人規模の人員削減も進める。22年から中国でEVを投入しているが、低価格車が席巻する市場で販売が伸び悩んでいる。

 より迷走しているのが日産だ。中国市場はコロナ禍による需要減がいち早く回復すると見込み、21年に生産能力を3割増強し年180万台とした。当時のトヨタ自動車やホンダを上回る規模だ。結果的に思惑は外れ、販売が年々減少しているにもかかわらず、今年3月に策定した中期経営計画では26年度までに中国販売を100万台とする強気の計画を示した。

 状況は好転せず、内田誠社長は11月、「現状を踏まえ、(中計の)目標を見直す」と表明。計画を事実上取り下げた。関係者によると、足元の業績悪化を受けて工場閉鎖も検討しているという。

 両社の中国生産は現地企業との合弁会社で運営している。一部の連携先は共通しているが、統合に伴う合理化策を検討する上で、中国側との調整は難航も予想される。

 コンサルティング大手アーサー・ディ・リトルの調査によると、日本で中国製EVの「購入を検討する」と答えた割合は約1割だったが、中国では9割に達した。消費者の意識からも中国勢の牙城を切り崩すのは難しく、在中国の自動車業界関係者は「経営統合しても縮小均衡の流れに歯止めをかけるのは容易ではない」と指摘する。

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