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平日の日中だけ稼働「日勤救急隊」続々、全国の13%が導入…高齢化で増え続ける搬送に対応

読売新聞 / 2024年12月23日 12時29分

救急車内の設備を点検する日勤救急隊員(大阪府枚方市で)

 交代制で24時間勤務の通常の救急隊とは別に、搬送依頼が集中する平日の日中だけ稼働する「日勤救急隊」が全国の消防に広がっている。高齢化で増え続ける搬送依頼に対応し、働き方改革につなげるためだ。総務省消防庁によると、今年4月時点で全体の13%に相当する95消防本部が導入。現場到着までの時間が短縮される成果も上がっている。

 同庁によると、昨年の救急車の出動件数は過去最多の763万7967件(速報値)で、20年間で約1・5倍になった。高齢化で急な体調不良を訴える患者が増えているほか、救急車をタクシー代わりに使う患者もいて、2022年は搬送者の半数近くが入院不要の軽症だったという。

 救急車の現着所要時間も延びている。22年は前年から0・9分延び、過去最長の10・3分。20年前の6・3分から4分遅れている。また、22年で搬送最多の時間帯は午前10時~正午。午前8時から午後6時までに、搬送人員の約6割が集中していた。

 救急現場では「勤務日の朝から翌日朝まで24時間勤務に入り、その後休む」というのが一般的だが、介護や子育てなどを抱える職員もいる。日勤救急隊は、こうした職員らが忙しい日中に交代制で稼働し、全体の出動の負担を軽減させる仕組みで、全国の消防で導入が相次いでいる。

 昨年7月に導入した富山市消防局では、今年3月までに現着時間を前年比で約50秒短縮。名古屋市消防局も昨年4月に2隊を導入し、約16秒縮めた。また、21年から導入した群馬県の高崎市等広域消防局は、育休を取得した隊員の復職支援で活用する。今年4月に復帰し、日勤の隊員として働く秋山彩夏さん(29)は「復帰後も現場に出たかったのでありがたい」と話す。

 今年5月に導入した高松市消防局ではシニアが活躍。隊長の伏見忠さん(61)は20年以上の救急隊経験があり、定年延長を機に志願した。「通常勤務は体力的に厳しいが、日勤なら無理なく働ける。経験を生かして貢献できれば」と語った。

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