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船井電機を突然解雇の550人、再就職先決定は半数以下か…東京地裁は親会社に資産の保全命令

読売新聞 / 2024年12月23日 15時40分

船井電機を巡る主な経緯

 AV機器メーカー・船井電機(大阪府大東市)が破産手続きの開始決定を受けてから、24日で2か月を迎える。解雇された社員のうち再就職先が決まったのは、半数以下にとどまるとみられる。元社員向けの求人では前職時より給与水準が低いケースが多く、元社員たちは厳しい年の瀬を迎えている。(杉山正樹)

 12月上旬、寒風が吹き付ける中、船井電機がある地域を管轄するハローワーク門真(大阪府門真市)から、失業保険や転職支援の手続きを終えた元社員たちが出てきた。元社員たちは近くの喫煙所などに集まり、情報交換などをしていた。表情はいずれも険しい。

 50歳代の男性は、複数の会社に応募したものの、不採用が続いている。船井時代と比べ、年収が数百万円ほど下がるケースが大半だといい、「通常の転職と違い、解雇なので足元を見られていると感じる」と嘆く。船井電機からは冬の賞与の支給はない。高校生の子どもや住宅ローンを抱える中、「厳しい年越しになる」と肩を落とした。

 AV機器の技術者だったという別の50歳代の男性は、何とか事務職で再就職が決まったといい、「もうテレビは作れないが、ほっとしている」と話した。だが、同じ部署のメンバーでは半数が再就職先が決まっておらず、「年齢のハードルが高い」とこぼした。

即日解雇

 船井電機は、主力のテレビの販売不振や事業多角化の失敗などで資金繰りが悪化し、創業家系の取締役が10月24日に、取締役会の議決を経ない準自己破産を申し立てた。同日、開始決定を受け、約550人の社員はその直後に突然、解雇を言い渡された。

 労働基準法では、少なくとも30日前に解雇予告の必要があるが、事前の予告はなかった。まだ支払われていない10月分の給与については、来年1月にも振り込まれることになった。

 労基法では、即日解雇の場合、「解雇予告手当」として30日分以上の平均賃金を支払う必要があるが、これまでに案内はないままだ。

「ブランド残して」

 行政による支援も実施されている。ハローワーク門真では10月29日から、元社員の採用を受け入れる企業を募集し、11月22日までに1500社から計3500件の応募があった。しかし、大阪労働局管内で求職登録をした約330人の元社員で再就職先が決まったのは、「半分にも届かない」(大阪労働局)水準だという。

 同労働局は、突然の解雇だったことを踏まえ、府内のハローワーク16か所で実施している「特別相談」を当面、継続して支援に当たる方針だ。

 船井電機でテレビ事業を担当していた40歳代の男性は、「社員をないがしろにした船井に戻ることはもうない。でも、長年働いた会社なので、『FUNAI』のブランドだけは残ってほしい」と語った。

民事再生求める動きも

 船井電機を巡っては、東京地裁が10月24日に破産手続きの開始を決定してから、異例の展開が続いている。

 破産申請前の9月27日に船井電機の会長に就いた元環境相の原田義昭氏と、親会社の船井電機・ホールディングス(現FUNAI GROUP)の代表取締役に就いた古寺誠一朗氏はそれぞれ、「グループ全体では債務超過ではない」などの理由で、地裁の破産の決定を不服として、東京高裁に取り消しを求めて10月30日までに即時抗告した。

 原田氏と古寺氏は互いに情報交換しているとみられる。このうち、原田氏については今月2日、東京地裁に、会社を残して再建を図る民事再生法の適用も申請した。適用のハードルは高いとされるが、原田氏は「希望する元社員には、船井グループへの再雇用か、再就職支援を行いたい」との考えを示している。

 一方、破産管財人は11月13日、親会社の破産手続きの開始を東京地裁に申し立てた。同社が保有する船井電機本社の不動産などの資産の売却を防ぐためとみられ、これに伴い地裁は同21日、親会社に資産の保全管理命令を出した。

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