選挙の電子投票 有効性と安全性をどう高める
読売新聞 / 2024年12月24日 5時0分
選挙の際、有権者が投票所に設置されたデジタル端末で投票する「電子投票」は、迅速で正確な開票が期待できる反面、システムトラブルへの不安がつきまとう。
今回の結果を丁寧に検証し、有効性と安全性を見極めたい。
大阪府四條畷市で22日投開票された市長選と市議補選で、全国では2016年以来8年ぶりとなる電子投票が行われた。
市内16か所の投票所に200台を超すタブレット端末を配備し、有権者はタッチペンで候補者名を選んで投票した。
二重投票を防ぐため、1回投票するたびに端末の画面をロックし、故障時は予備機に取り換えるようにした。安全のため通信ネットワークには接続せず、投票結果は端末の記録媒体に保存した。
大きな混乱は生じなかったという。事前に入念な準備をしたことが功を奏したようだ。
電子投票は、02年に地方選挙に限って導入された。自治体が条例を定めれば実施できる。
これまで10自治体で計25回行われたが、03年の岐阜県可児市議選でトラブルが発生し、最高裁で選挙無効判決が確定したことなどで導入の機運がしぼんだ。
開票作業には多くの自治体職員が必要だ。だが、02年に約315万人いた自治体職員数は年々減少し、昨年は約280万人に。業務の効率化と職員の負担軽減は選挙を維持するために欠かせない。
そのため、今回の電子投票の成否は自治体の間で注目を集めたが、トラブルへの不安から依然として様子見の自治体は多い。
高額な初期費用も導入に二の足を踏む一因となっている。四條畷市の場合は、端末の確保などに約4500万円を要した。
電子投票を行う自治体を国が財政支援する仕組みもあるが、自治体からは金額が不十分だとの声が出ている。地方選で導入しても、電子投票が認められていない国政選と重なった場合、有権者が混乱すると懸念する自治体もある。
電子投票は将来、パソコンなどを使って自宅から投票できる「インターネット投票」の導入につながっていく可能性もある。
四條畷市や国には、今回の電子投票の運営方法や危機管理体制などを検証してもらいたい。
電子投票の有効性や安全性への信頼が高まれば、今後、導入する自治体も増えてくるだろう。そうすれば、初期費用が安くなり、国政選挙への利用拡大も視野に入ってくるはずだ。
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