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日米金融政策 先行きの不確実性見極めたい

読売新聞 / 2024年12月24日 5時0分

 日米の経済はともに堅調だが、先行きの不確実性は高まっている。トランプ次期米政権が検討する高関税政策などの影響が読みにくいためだ。

 日本銀行も米連邦準備制度理事会(FRB)も、次期米政権の出方を見極めて、政策運営を行っていくことが大切になる。

 FRBは政策金利を0・25%引き下げて、年4・25~4・50%とすることを決めた。9月に金融政策を緩和方向へ転換してから、3会合続けて利下げした。

 2025年の利下げ回数は、通常の利下げ幅で2回と予測し、9月時点の4回から減らした。

 11月の消費者物価指数は前年同月比で2・7%上昇し、2か月連続で伸びが加速した。2%の目標を上回っており、物価高が再燃する懸念が出始めている。

 パウエル議長は記者会見で、利下げのプロセスは「新たな段階に入った」と述べた。今後は、利下げペースを落とすことが適切だと考えているのだろう。

 堅調な景気を維持しながら、金融の引き締めによって物価高を抑え込んでいく過程は、最終盤が難しいとされる。賃金の伸びが加速する可能性があり、家計も支出を続けると予想されるためだ。

 さらにトランプ次期政権が、公約どおりに大型の減税や高関税、不法移民の強制送還などに踏み切れば、経済の過熱や人手不足による賃金上昇を招き、インフレ圧力が高まることは避けられない。

 FRBは再び利上げを迫られることがないよう、物価高の再燃には細心の注意を払うべきだ。

 一方、日銀は政策金利を0・25%程度に維持することを決めた。7月に利上げを決定して以降、3会合連続で金利を据え置いた。

 市場には今月の利上げ観測もあった。だが、植田和男総裁は記者会見で、「春闘に向けた勢いなど賃金動向について、もう少し情報が必要」と慎重な姿勢を示した。「米次期政権の経済政策を巡る不確実性は大きい」とも語った。

 今回の決定を受け、日米の金利差は当面、縮小しないとの見方から、円安・ドル高の傾向が強まった。円安は輸入物価の上昇を通じて物価高を招き、家計を苦しめる。日銀は為替市場にも注意を払っていく必要があろう。

 日本経済は、賃金も投資も増える「成長型経済」へと転換していくべき過程にある。それに伴い金利も上昇していくのが自然だ。日銀は、経済や次期米政権の動向を点検しながら、追加利上げの時期を判断していってほしい。

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