デパート初売り「3日」主流…三越伊勢丹は2日、競合他社「独り勝ちになる不安ある」
読売新聞 / 2024年12月24日 22時0分
大手百貨店の間で、2025年の初売りを1月3日に遅らせる動きが出ている。正月は福袋商戦などが盛り上がる稼ぎ時だが、従業員が休みやすい環境に配慮し、営業日を見直す企業が増えているためだ。背景には、小売業界の深刻な人手不足がある。
高島屋は、25年の初売りを全国13店舗で原則として1月3日とする。2日を休業日にするのは23年ぶりで、元日と2日を連休にして従業員の働き方改革につなげる。村田善郎社長は「安心して働ける職場づくりにつなげたい」と話す。
大丸松坂屋百貨店も全国15店舗で、25年ぶりに3日からの営業とする。そごう・西武はこれまで元日から営業してきたが、25年は旗艦店の西武池袋本店など4店舗で2日に初売りを行う。
初売りは、1980年代までは3日が主流だった。だがバブル後の不況で、売り上げを確保しようと前倒しする企業が増えた。
今回の見直しについて、各社が理由に挙げるのが人手不足対策だ。パーソルキャリアによると、同社の転職サービス「doda」に掲載した求人数の伸び率(11月時点)は、小売業が前年比1・4倍で全体の1・1倍を上回る。2030年には、60万人不足するとの推計もある。
訪日客の増加で好調な業績も、休業日を増やす判断を後押ししたとみられる。24年から初売りを3日にした松屋銀座は「年始の休業を増やしても売り上げに大きな影響はなかった」(広報)と明かす。
一方、三越伊勢丹は2日から営業する。16年に都内など8店舗で初売りを3日に変更したが、顧客らの求めで20年から2日に戻した経緯がある。競合他社の幹部は「初売り商戦で、三越伊勢丹の独り勝ちになる不安はある。売り上げか働き方か、どちらを優先するか悩ましい」と話す。
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