ロシア派遣の北朝鮮兵、死傷者３０００人以上か…ゼレンスキー氏「軍事協力は全ての国への脅威だ」

ゼレンスキー氏＝ロイター

　ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は２３日、ロシアに派遣された北朝鮮軍の死傷者が３０００人以上に上るとの推計を公表した。ウクライナ軍が越境攻撃を行っている露西部クルスク州の状況について、ウクライナ軍総司令官から受けた報告の内容としてビデオ演説で明らかにした。

　ゼレンスキー氏は露朝の軍事協力について「朝鮮半島周辺や中国を含む全ての国への脅威だ」と指摘し、国際社会による強い対応が必要だと訴えた。

　北朝鮮は、ロシアに追加で兵器を供給する構えとみられる。米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは２３日、衛星写真の情報を基に北朝鮮東部の短距離弾道ミサイル「ＫＮ２３」と「ＫＮ２４」の生産施設が拡張されていると報じた。米韓当局は、北朝鮮が船や鉄道でロシアに武器を送る動きがあると分析しているという。

　ウクライナ当局は、ロシアが今年発射した弾道ミサイルのおよそ３分の１が北朝鮮製だったとみている。ウクライナの情報機関高官は北朝鮮製のミサイルについて、「精度は低いが、射程が長く我々の脅威になっている」と指摘した。露軍が使用する砲弾も半分以上が北朝鮮製だと報じられている。

　一方、タス通信によると、ロシアのユーリー・ウシャコフ大統領補佐官（外交担当）は２３日、来年５月９日にモスクワで行われる旧ソ連の対独戦勝記念日の軍事パレードに北朝鮮が参加するとの見通しを示した。北朝鮮が参加するかとの記者団の質問に対し、「すると思う」と答えた。露朝関係強化を誇示する機会に利用するとみられる。