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「中ぶらりん議会」終始野党ペース、少数与党は円滑な国会運営に腐心…大局的な政策論議深まらず

読売新聞 / 2024年12月25日 10時30分

臨時国会が閉会し、記者会見をする石破首相(奥中央)(24日夕、首相官邸で)=川口正峰撮影

 24日に閉会した第216臨時国会は、与党過半数割れの状況下で終始野党ペースで進んだ。与党は野党に譲歩を重ねて円滑な国会運営に腐心する一方、野党は自ら主張する政策をいかに与党に受け入れさせるかに注力。少子化対策や外交戦略といった大局的な政策論議は深まらなかった。

 「『ハングパーラメント』の妙味を最大限生かしながら、目指すべき日本を確立してまいりたい」

 石破首相は24日の記者会見の冒頭発言を、そう締めくくった。

 「ハングパーラメント」とは「中ぶらりん議会」という意味で、どの政党も過半数を得ていない状態を指す。少数与党の状況を逆手に取り、野党の協力を得ながら政権を運営する手法に手応えを感じているとみられる。

 実際、臨時国会では、大半の与野党の賛成多数で政治改革関連3法を成立させ、補正予算でも日本維新の会や国民民主党の賛成を得た。首相周辺は「少数与党での国会運営の一つの形をつくることができたのではないか」と語る。

 自民は補正予算への野党の賛成を取り付けるため、国民民主が主張する「年収103万円の壁」見直しや、維新が掲げる高校授業料の無償化の実現に向けた協議を次々と約束した。反対した立憲民主党の要望も受け入れ、石川県・能登半島の復旧・復興費に1000億円を上積みした。

 こうした成果は、野党が結束して与党側に迫ったわけではなく、自民党が各党に個別に協議を呼びかけた結果で、立民幹部は「実際は野党の切り崩し工作だ」と指摘する。個別の政策協議に焦点があたったことで、「財源を含めた国民に痛みを伴う議論や、厳しさを増す東アジアの安全保障環境を踏まえた議論などが乏しかった」(政府高官)との声もある。

 立民の野田代表は24日の党会合で、「来年の通常国会では、もっと大きなものを戦略的に取りにいきたい」と強調した。野田氏の念頭には、企業・団体献金禁止や、選択的夫婦別姓制度などがあるとみられ、来年夏の参院選をにらんだ与野党の駆け引きは一層強まりそうだ。

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