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アニメ見てペットに、でも成長すると粗暴で捨てられて…野生化したアライグマが久留米で急増

読売新聞 / 2024年12月25日 14時0分

 福岡県久留米市内で「特定外来生物」のアライグマが急増し、農作物などに被害をもたらしている。今年度はすでに225匹(今月12日時点)が捕獲され、2019年度の捕獲数の5倍以上にのぼる。最近は市街地での目撃情報も増えており、市は貸し出した箱わなで捕獲して個体数を減らす防除への協力を呼びかけている。(香月大輝)

9月以降6匹もわなに

 久留米市城島町でイチジクを栽培する男性(69)は長年、イチジクをアライグマに食い荒らされる被害に悩まされている。今年は9月以降、市から貸与された捕獲用の箱わなに6匹がかかった。例年、収穫されるイチジクの1割ほどが被害に遭うと言い、男性は「せっかく作ったイチジクがだめになり、悔しかった。市からの貸与は助かる」と話した。

 環境省によると、アライグマを主人公にしたアニメが1970年代に放送されて以降、かわいい動物というイメージが広がってペットとして国外からの輸入が増えた。しかし、成長すると粗暴になる個体が多く、飼育が困難になった飼い主が捨てるなどして野生化し、全国各地で定着が進んだという。

捕獲数は2年前の2倍

 久留米市環境保全課によると、市内で初めてアライグマが確認された2012年10月以降、目撃情報や農作物などへの被害が相次いでいる。市内での捕獲数は、18年度が13匹だったが、19年度は44匹、22年度は101匹と増え、今年度はすでに200匹を超えている。

 アライグマを含む鳥獣は原則捕獲が禁止されている。市では防除実施計画を策定し、環境省の認定を受けた防除を実施。16年度から捕獲従事者の登録をした市民に捕獲用の箱わなを貸し出している。登録を申請した市民は市役所窓口で講習を受講。受講後は自宅や畑などに箱わなを設置し、捕獲された個体を市が回収して殺処分する。貸出期間は原則1基が1か月間で料金は無料。状況によっては貸出期間の延長も可能となっている。

市街地でも生息

 箱わなの貸出数も増加し続けており、18年度は43基だったが、今年度は今月12日時点で226基にのぼっている。

 当初は農業地域や山間部でアライグマの確認情報が多かったが、現在では市街地でも生息が確認されていて、市内全域に定着しているとされる。猟犬などにも立ち向かうような気性の荒さで、国内に天敵が少ないことも個体数の増加の要因となっている。市内での人的被害の報告はないが、屋根裏などにすみ着き、飼っていた金魚やメダカが食い尽くされた家庭もあるという。

 久留米市の男性(76)は9月の朝方、天井裏を何かがドタバタ走り回る音を聞いた。音は4日ほど続き、カメラを設置したところ、アライグマと判明。市から借りた箱わなで3匹を捕獲した。男性は「外来生物がこんなところまですみかを広げているのかと驚いた」と振り返る。

 アライグマは冬眠しないとされる。暖かい時期と比べて、冬場は動きは鈍くなるが、出産を控えた2月末頃から気候が暖かくなると行動が活発になるという。

 市環境保全課は「感染症を持っている可能性があり、見つけても触ってはいけない。目撃した人はわなの設置などを相談してほしい」としている。問い合わせは同課(0942・30・9043)へ。

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