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北九州の中学生殺傷、容疑者の自宅・車から刃物数十本押収…愛好家用の珍しいナイフや模造刀も

読売新聞 / 2024年12月25日 5時0分

 北九州市小倉南区のファストフード店で中3男女が男に殺傷された事件で、男子生徒(15)への殺人未遂容疑で逮捕された同区の無職平原ひらばる政徳容疑者(43)の自宅や車から押収された刃物が合計数十本に上り、様々な形状や長さのものがあることが捜査関係者への取材でわかった。男子生徒の目撃情報と特徴が一致する刃物も複数あり、福岡県警が鑑定を進めている。県警は動機や計画性の有無を調べており、女子生徒(15)に対する殺人容疑での再逮捕も視野に捜査する方針。

 捜査関係者によると、平原容疑者の2階建て一軒家と車からそれぞれ複数の刃物が見つかり、アウトドア用のほか、愛好家が観賞用に購入するような珍しいナイフや模造刀も含まれていた。一部は自宅に飾られていたが、床に置かれていたものもあった。

 市内の刃物などを扱う店の店主(50歳代)は読売新聞の取材に、平原容疑者とみられる人物が数年前から年に数回程度訪れ、ナイフを購入したこともあったと証言した。店主は「接客しても言葉数は少なかった。高額な商品も買っていたので、お金があるんだなと思っていた」と話す。

動機の解明が焦点

 県警は生徒2人と面識はなかったとみており、動機の解明が捜査の焦点だ。捜査関係者などによると、妻と娘と暮らしていた平原容疑者は1年以上前に離婚し、事件当時は一人暮らしだった。複数の知人や住民らが「最近は様子がおかしかった」と証言している。

 逮捕時は無職だったが、自宅前に約10台が駐車できる駐車場を親族が所有しており、事件に使われた可能性のある黒のワンボックスカーなど、まだ新しい複数の車を運転する姿が住民らに目撃されていた。

 平原容疑者は19日、ファストフード店で14日夜に男子生徒を刃物のような物で突き刺して殺害しようとした疑いで逮捕され、「確かにその行為をしました」と認めている。逮捕当初の取り調べに対しては激高することもあり、動機についても説明していないという。

 県警は今後、男子生徒のそばで腹部を刺され死亡した女子生徒に対する殺人容疑についても、平原容疑者を調べる。かつて女子生徒が通っていた市内の幼稚園の男性園長(52)は「優しくてかわいい、いつもにこにこしている女の子だった」と振り返り、「容疑者の逮捕でほっとしたが、亡くなった命はかえってこない。(彼女の)夢や希望、これからだった人生を考えると……」と声を詰まらせた。

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