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「アルゼンチンのトランプ」ミレイ大統領が本家と親密アピール…就任1年、国際協調には後ろ向き

読売新聞 / 2024年12月25日 18時34分

トランプ米次期大統領(左)と握手するミレイ大統領(11月14日、米フロリダ州のトランプ氏の邸宅で)=ロイター

 【リオデジャネイロ=大月美佳】南米アルゼンチンの右派ハビエル・ミレイ大統領が昨年12月に就任し、1年が経過した。米国のトランプ次期大統領との親密ぶりを盛んにアピールし、回復基調の経済も追い風に存在感を示している。国際協調に後ろ向きなミレイ氏の奔放な言動に、関係国が翻弄ほんろうされる状況が続きそうだ。

 「前例のない政治的行為 トランプ氏がミレイ氏を米大統領就任式に招待」。今月14日、アルゼンチンの地元メディアが相次いで「就任式招待」と報じると、ミレイ氏はすぐさま、一連の報道を自らのX(旧ツイッター)で転載した。トランプ氏との近さを内外に誇示する狙いは明らかだ。

 ミレイ氏は11月、大統領選勝利後のトランプ氏と面会を果たした初の外国首脳となり、世界の注目を集めた。トランプ氏もミレイ氏を「お気に入りの大統領」と呼び、「アルゼンチンを再び偉大にする」と絶賛してみせた。

 過激な発言などで「アルゼンチンのトランプ」とも称されるミレイ氏は、トランプ氏同様、国連を含む多国間協調の枠組みには懐疑的だ。大統領に就任してからの1年間で、国際会議の舞台などで関係国との摩擦もいとわない「ミレイ流」外交を貫いてきた。

 象徴的だったのが、11月の一連の国際会議での振る舞いだ。女性への暴力根絶のための国連の決議案に加盟国で唯一、反対し、国連気候変動枠組み条約第29回締約国会議(COP29)では、代表団を交渉から離脱させた。主要20か国・地域(G20)首脳会議でも、超富裕層への課税や飢餓貧困対策などの項目に抵抗した。

 左派との対決姿勢も隠さない。「社会主義というゴミと決別する」。ミレイ氏は今月4日、首都ブエノスアイレスで開かれた保守派の会合でぶち上げた。ブラジルのルラ・ダシルバ大統領やスペインのペドロ・サンチェス首相ら左派の首脳らを名指しで批判し、右派の結束を呼びかけた。

 内政・外交ともに強気の姿勢を下支えするのは、国内の根強い支持だ。アルゼンチンのサン・アンドレス大が今月発表した調査によると、支持率は54%に上る。

 危機的だった経済に好転の兆しが出ていることへの評価が特に高い。紙幣の増刷廃止などで深刻なインフレ(物価上昇)は収束に向かっており、昨年12月に前月比25・5%に達した消費者物価の上昇率は、11月に同2・4%にまで抑え込んだ。公務員の大幅削減や公共投資の凍結なども断行し、財政の黒字化も実現した。

 中部コルドバ市でペットサロンを経営するマルティン・クエジョさん(45)は「改革に痛みを伴うのは当然だ。大統領は型破りだが誠実で、何より公約を守っている」と話した。

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