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塾帰りに刺殺された女子生徒、受験シーズンの学習現場に波紋…外食禁止や見守り強化

読売新聞 / 2024年12月26日 9時41分

事件を受け、塾の玄関に設置されたチャイム(24日、北九州市小倉南区で)

 北九州市小倉南区のファストフード店で中3男女が男に殺傷された事件で、亡くなった女子生徒(15)は塾帰りだった。事件後、周辺の学習塾は、事前に用意した食事を塾内で食べるよう求めたり、帰宅時の警備を強化したりするなど新たな安全対策を始めた。26日で容疑者逮捕から1週間。受験シーズンを控えた学習現場に余波が広がっている。(小川晶弘、美根京子)

逮捕1週間

 24日夕、事件現場に近い九大進学ゼミ徳力校。冬期講座の初日を終えた中学3年生約50人が続々と帰途に就いた。2人の講師が教室の外まで出て、「さようなら」と声をかけながら見守っていた。これまでは授業後の質問への対応を優先してきたが、質問がある生徒には教室に残ってもらい、帰る生徒を見届けてから応じることにしたという。

 事件後5日間は容疑者逮捕に至らず、約1週間はオンラインの授業に切り替えた。区内の無職平原ひらばる政徳容疑者(43)が19日に逮捕されると、23日に通常授業に戻し、併せて生徒の安全対策を強化した。

 授業中、出入り口は来校や帰宅の時間が異なるため開けていたが、複数の保護者から「無施錠は不安」との声が上がり、施錠することにした。食事は自宅に戻るか、塾内で食べることを徹底し、途中で店に買いに行ったり、食べに行ったりすることを禁止とした。塾長の佐多博隆さん(49)は「対面授業は生徒に伝わる熱量が違う。継続するためにもできる限りの対策を続けたい」と語った。

 区内の別の学習塾も事件後、食事のための外出禁止の措置を講じた。「見張りを増やし、明るい時間でも子どもたちを講師が出迎えるようにした」「防犯カメラの設置を検討している」という塾もある。

帰り道関与できず

 塾帰りの子どもが狙われる事件は過去にもあった。2006年、兵庫県たつの市の路上で小学4年の女児が男に刃物で刺され重傷を負った。12年には広島市で男が小学6年の女児を旅行かばんに押し込め、連れ去る事件も起きた。

 全国約400の学習塾の法人が加盟する公益社団法人「全国学習塾協会」(東京)は06年、塾に通う子どもの安全確保に関する指針を策定。事業者に対し、塾までの交通経路、不審者情報を把握することや、通塾時にできる限り保護者に付き添うよう呼びかけることなどを求めている。

 同協会によると、近年は子どもの入退室時刻をLINEやメールで保護者に通知する塾もあるという。一方で、担当者は「送迎や子どもの位置情報の把握は保護者に強制できない。子どもを見送った後の帰り道は塾が関与できず、対策が難しい」と打ち明ける。

 立正大の小宮信夫教授(犯罪学)は「自分を見ている人や異常な様子で接近して来る人がいないか警戒するなど、子どもが自分の身を守る力を付けることも大事だ。学校が防犯教育を行うように、塾の経営者や講師も授業前の時間を活用するなどして、子どもたちに安全対策を伝えてほしい」と求める。

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