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志望大学には偏差値20足りず、塾にも行けない…教育系YouTuber・葉一が見せた「逆転劇」

読売新聞 / 2025年1月10日 10時0分

高校時代の葉一さん(本人提供、画像の一部を修整しています)

 「教育系ユーチューバー」の草分け的存在として知られる葉一さん(39)。高2の冬、教師を志し、東京学芸大学を受験しようと決めるが……。当時の実力は到底合格など望めないレベルだった。(読売中高生新聞編集室 塩島祐子)

偏差値が足りない!

 「志望校を決めはしたものの、偏差値が約20も足りません。それに、家計を考えると、親に金銭的な負担をかけるのは難しい。だから、塾には通わず、学校の授業と自宅学習で合格を目指すことにしました。

 1年後の大学入試センター試験(現在の大学入学共通テスト)で良い点を取るにはどうすればいいかを考え、まずは勉強の計画を立てました。『4月は英単語の復習、語彙ごい力を上げる』といった具合に、約1年分のざっくりとしたスケジュールを組みました。

 授業中は必死にノートをとって、自宅では授業の復習と参考書の問題を解く日々。少しでも成績を上げようと睡眠時間を削り、1日3時間くらいしか寝ていなかったですね。でも、最初の数か月は思ったような成果にはつながりませんでした」

なかなか成績が伸びない葉一さんは、優秀な同級生たちに勉強方法を たず ねてみたという。

 「高3の時は国立理系を目指すクラスにいて、優秀な友人が多かったんです。話を聞いて驚いたのは、勉強ばかりに時間をとられていないことでした。

 後に北海道大学に進んだ友人は、なんと登校前と放課後に大好きな釣りに出かけていました。彼には『授業中に教わった内容を覚えれば、家でやることが減るじゃん』と言われて。睡眠時間を削ることについても『翌日眠くなって、効率悪くない?』と……。

 そこから意識が変わりました。それまで以上に集中して授業を受け、ポイントを暗記するようにしました。以前は自宅で復習してから問題を解いていましたが、公式などのポイントを暗記しているため、問題演習からスタートできるようになりました。

 睡眠時間も6~7時間は確保するよう心がけました。そうすると、頭がすごくスッキリして、効率よく学習を進められるようになりました。友人には『睡眠時間を削るより、起きている時間をどう使うかの方が大事だ』と言われたのですが、本当にその通りだったと思います」

配信を始めたのは…

勉強方法を見直した葉一さんの成績は、秋以降にぐんぐんと上がり、見事、東京学芸大学に合格する。

 「合格発表を見に行ったら、アメフト部の人たちがいて、人生で初めての胴上げをしてもらいました。合格できたのは本当にうれしかったし、ホッとしましたね。

 受験勉強は苦しかったけど、自分の成長を確認することを大切にしていました。その日に勉強して新しく覚えたことや、できるようになったことは必ずある。それを寝る前に確認して、自己肯定感を高めていました。中高生の皆さんも、受験が近づくと不安になると思いますが、『自分はこれだけやってきたんだ』と思えると強くなれる。毎日頑張っている自分自身を認めて、ほめてあげてほしいと思います」

大学卒業後は学校の教壇に立つのではなく、YouTubeという舞台で幅広い年代の“生徒”を教える道を選び、今も続けている。

 「家庭の経済状況に関係なく、無料で多くの子どもたちに授業を届けることができる。色々考える中で『私にはこの道だ』と思いました。配信を始めた2012年から10年以上たち、たくさんの人が授業を見てくれて、教育格差の解消に少しは役に立てているのかなと感じています。

 中高生の皆さんには、私自身が楽しく生きている姿を見せたいと思っています。人生は苦しいこともあるけど、踏ん張って前に進み続ける限り、いいこともたくさんある。私の姿を見て『大人になるのも楽しそうだな』と思ってもらえるように、これからも挑戦を続けていきたいです」 

プロフィル

はいち 1985年生まれ。2012年からYouTubeで授業動画の配信をスタート。YouTubeチャンネル(「とある男が授業をしてみた」)の登録者数は200万人超。

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