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用水路へ転落死亡、岡山市で9年間に52人…夕暮れ時の高齢者が多く

読売新聞 / 2024年12月27日 11時16分

 岡山市内の用水路への転落事故が後を絶たない。市内で発生した2023年度の転落事故は54件と前年度より6件増。特に夕暮れ時の高齢者の事故が多く、岡山市は通行時の注意点などをまとめたチラシを配布するなどして注意を呼びかけている。(井上学)

 市などによると、市内の用水路の総延長は約4000キロで、1平方キロあたりの水路延長を示す「用水路密度」は全国平均の約5倍。干拓地が広がる岡山県南部では、網目状に水路が広がる水田地域が市街化されており、道路沿いの水路に転落する事故が相次いでいる。

 市のまとめでは、統計がある2015年8月~24年3月に転落事故が596件、うち死亡事故が52件発生している。事故に遭った人のうち65歳以上が59%を占めており、事故発生の時間帯は午後5~8時が29%で最も多かった。

 市は事故の多発を受け、16年度から安全対策に着手。危険箇所を洗い出し、約2500か所で柵を設置するなどの対策工事を進めてきた。今年度も用水路の安全対策関連事業に約4700万円を充て、柵や反射板を設置するなど継続的に取り組んでいる。

 転落事故は17年度の86件(死亡事故12件)をピークに減少に転じ、22年度は48件(同3件)にまで減ったが、23年度は54件(同4件)に増加。市は安全対策工事に加え、同年度から注意を促す啓発チラシを作成し、公民館や区役所など約60か所で配布している。

 チラシはA4判で、表には用水路へ自転車で転落する高齢者の絵を大きく描き、事故件数や年齢構成、事故発生時間帯などのデータを掲載。裏には、注意すべき用水路の特徴を写真で紹介し、▽近くを通行するときは注意しましょう▽夜間はライトを点灯しましょう――などと注意を促している。

 毎年春と秋に作成しており、市道路港湾管理課は「運転時の不注意による事故も多い。地域での安全対策講習などでもチラシを配り、啓発していく」としている。

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