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ウルグアイ・ラウンド「秘密交渉」を細川護熙元首相が明かす…コメ輸入で反発避けるため「白を切っていた」

読売新聞 / 2024年12月27日 5時0分

本紙とのインタビューでウルグアイ・ラウンドを振り返る細川護熙元首相

 細川護熙元首相(86)が読売新聞のインタビューに応じ、1993年の多角的貿易交渉「ウルグアイ・ラウンド」での日米による秘密交渉の存在を明らかにした。12月にラウンドが妥結する2か月前、コメ輸入の部分開放受け入れで両国が事実上合意したが、国内外の反発を避けるため秘匿していたという。

 インタビューは、外務省が93年の外交文書を公開するのに合わせて行った。細川氏によると、宮沢政権下の同年7月、塩飽二郎農林水産審議官がスイス・ジュネーブで米側と秘密交渉を本格化させた。細川氏は同8月に首相に就任し、貿易交渉を引き継いだという。

 細川氏は「10月までには日米の農業担当者で秘密裏に最低輸入量(ミニマム・アクセス)で手を握った」と明かした。合意は〈1〉コメの輸入全面受け入れ(関税化)は6年間先送り〈2〉日本は国内消費量の4~8%のミニマム・アクセスを受け入れ〈3〉7年目以降に特例措置を継続するかは再協議――という内容だった。

 多国間交渉で日米が先に合意したことが発覚すると、他の交渉参加国からの反発を招くほか、国内でも与野党に対して根回しが必要となることから、妥結までの2か月間は「秘密が漏れないようにかん口令を敷き、申し訳ないけど、白を切っていた」という。

 細川氏は、来日した関税・貿易一般協定(GATT=ガット)のピーター・サザランド事務局長と93年10月21日に会談した際、秘密合意について「包括関税化に対する国内の反対は極めて強く、我が国としてぎりぎりのものだ」と説明。秘密合意をウルグアイ・ラウンドのジャメイン・ドゥニー市場アクセス分野議長の調整案として「各国に提示してもらい、我が国としても受け入れを決定するという手順が必要だ」と求めた。

 12月に入ってからは、農水省の次官や官房長を連日のように午前0時頃から首相公邸に秘密に呼び、ジュネーブにいる塩飽氏から電話で交渉状況を確認したという。秘密合意はドゥニー調整案として12月8日、各国に提示され、細川氏は14日に受け入れを表明した。

 日米の秘密交渉は主に農水省と米農務省の間で行われたこともあり、外務省が公開した外交文書には掲載されていない。細川氏は「自由貿易で恩恵を得てきた海洋国家として、交渉を失敗させる選択肢は最初からなかった。やり遂げなければならないという強い思いがあった」と振り返った。

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