都市鉱山、東南アジアで「囲い込み」…レアメタル確保へ政府が使用済み電子機器の輸入強化
読売新聞 / 2024年12月27日 15時0分
政府は、東南アジア諸国連合(ASEAN)からの使用済み電子機器の輸入強化に乗り出す。希少金属(レアメタル)を回収できる「都市鉱山」の開拓を海外でも進める狙いで、インドネシアなど5か国で回収や解体の技術指導、法整備支援を実施し、日本企業との取引促進を目指す。
日本はレアメタルの多くを輸入に頼っており、回収による再資源化を進めてきた。リサイクル量は2019年に36・1万トンに達し、経済協力開発機構(OECD)加盟国でトップに立ったが、その後は横ばいが続いている。政府はASEANからの輸入強化で、総量を上積みしたい考えだ。
ASEANでは電子廃棄物の回収や処理を巡る法整備が進んでおらず、解体技術も不十分な状況にある。現地での環境汚染防止にもつながることから、両面での支援を進め、鉱山の“囲い込み”を狙う。
政府は既に昨年度からASEANへの技術支援を開始しており、早ければ今年度中にもインドネシア、タイ、フィリピン、マレーシア、ベトナムの5か国への法整備支援にも着手する。そのうえで、2028年度までに各国からの輸入を実現させる方針だ。
日本が輸入する電子廃棄物は、現状では欧米由来が6割を占めている。欧州連合(EU)諸国はリサイクル強化にカジを切りつつあるため、経済安全保障の観点からも、代替輸入先としてASEANを見込んでいる。再生金属を使用した製品の輸出で、ゆくゆくは広範囲での資源循環につなげる青写真も描く。
政府は資源や製品を効率的に利用、廃棄物の発生を抑える循環経済(サーキュラーエコノミー)への移行を目指している。27日午後に関係閣僚会議を開き、ASEAN支援を盛り込んだ政策パッケージを取りまとめる予定だ。
◆都市鉱山=パソコンやスマートフォンなどの使用済み電子機器を、金属を採掘する鉱山に見立てた呼び方。これらの機器の基板からは、銅やレアメタルなどの有用な金属を回収・再利用できる。資源が乏しい日本は、不純物を取り除いて必要な金属を回収する優秀なリサイクル技術を活用し、再利用を進めている。
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