2度のW杯で主審、西村雄一さん「引退」…一番の思い出は初の日本代表戦でカズが決めたゴール
読売新聞 / 2024年12月28日 18時51分
サッカーの元国際主審でプロフェッショナルレフェリーの西村雄一さん(52)が一線から退くことになった。西村さんは2010年南アフリカ大会、14年ブラジル大会と2度のワールドカップ(W杯)で主審を担当。J1リーグでは407試合で主審を務めた。1メートル80を超す長身、美しく説得力のある所作でJリーグ最優秀主審賞を11度受賞した日本を代表する名レフェリーだった。
W杯開幕戦でも笛
12月19日に東京都内で記者会見した西村さんは、忘れられない試合として、11年3月29日に行われた東日本大震災の復興支援チャリティーマッチ、日本代表―Jリーグ選抜戦を挙げた。国際主審だった西村さんは、日本代表の試合で笛を吹くことがそれまでなく、この試合が初めての機会だった。
試合はJリーグ選抜のFW三浦知良が後半に鮮やかなゴールを決めた。「あのゴールだけは、誰もが喜んだ。その瞬間は僕の人生で一度しかありませんでした」と振り返った。
W杯では、欧州対南米の重要な試合を担当した。14年大会では事前に、「大事な試合を任せる」と伝えられており、開幕戦のブラジル―クロアチアで笛を吹いた。同点で迎えた後半、倒れたブラジルのFWフレジにPKを与えた。微妙な判定で、シミュレーションでは、と議論も呼んだが、「(クロアチア選手の)手がかかっていた。(PKを)取らなければ、『見逃している』となってしまう。それは間違った判定」という。
新年からは、日本サッカー協会の審判マネジャーに就任する。目標として、「審判を支えることでサッカーの発展に貢献すること」と「審判活動を多くの方々で共有することで社会に貢献すること」の二つを挙げる。豊富な経験を生かし、優秀な後進を多く育ててくれることを期待したい。(編集委員 川島健司)
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