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米国の核使用、「日本と意思疎通」初めて明文化…北朝鮮と中国念頭に「核の傘」強化

読売新聞 / 2024年12月29日 5時0分

 日米両政府が初めて策定した拡大抑止に関するガイドライン(指針)に、有事の際の米国の核使用について日本と意思疎通するとの内容が盛り込まれたことがわかった。自衛隊と米軍が連絡を取り合う「同盟調整メカニズム」(ACM)を活用し、日本側の要望を伝える。こうした運用形態を構築することで日本を守る「核の傘」を強化し、北朝鮮や中国への抑止力を高める狙いがある。

 複数の日本政府関係者が明らかにした。指針の策定は27日に外務省が発表したが、軍事機密を含むため、具体的な内容は公表していなかった。

 核攻撃を承認する権限は、米軍最高司令官の米大統領が持つ。これまで米国の核使用について、日本政府が米側に意見を伝えることができるという明文化された規定はなかった。

 北朝鮮の核開発や中国の軍備増強を受け、日米両政府は2010年から、外務・防衛当局の実務者が核抑止力などを議論する定期協議を開始し、核使用に関する日本の考え方を伝えてきた。今後は、15年に再改定された日米防衛協力の指針で平時から設置されたACMの枠組みでも、米国の核使用について意見交換する。

 ACMでは、外交・防衛当局の局長級らで作る「同盟調整グループ」と、自衛隊と米軍の幹部が参加する「共同運用調整所」の両方で議題とし、必要に応じて閣僚らハイレベルでも協議することを想定している。平時から有事まであらゆる段階で、米国の核使用に関する日本の考え方を伝えられるようになるという。

 核兵器を取り巻く環境は悪化の一途をたどっている。ロシアはウクライナ侵略に際し、核使用の可能性を示唆している。東アジア地域では、北朝鮮が17年に6回目の核実験に踏みきり、弾道ミサイルの能力も大幅に向上させている。中国は30年までに運用可能な核弾頭数が1000発を超えるとみられている。

 石破首相は今月3日の参院本会議で「米国の拡大抑止の信頼性をこれまで以上に強化させるよう事務方に指示した」と明らかにした。今回策定された指針の下でも、最終的な核使用の判断は米国次第とはなるが、外務省幹部は「抑止力強化のメッセージとして、大きな意味を持つ」と指摘している。

 ◆拡大抑止=自国が武力攻撃された場合に限らず、同盟国が攻撃された時にも報復する意図を示すことで、第三国による同盟国への攻撃を未然に防ぐ安全保障政策。米国は通常兵器に加え、「核の傘」も含める形で、日本や韓国、北大西洋条約機構(NATO)加盟国に抑止力を提供している。

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