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混迷深まる韓国 国際社会にも不安を広げる

読売新聞 / 2024年12月29日 5時0分

 大統領に続き、大統領代行の首相まで弾劾だんがい訴追される異常事態である。外交や経済に悪影響が及ぶのは避けられない。

 韓国の内政問題とはいえ、混乱拡大を憂慮せざるを得ない。

 韓国の国会が、大統領権限を代行する韓悳洙首相に対する弾劾訴追案を可決した。韓氏は、非常戒厳を宣言した尹錫悦大統領が弾劾訴追されて職務停止となった後、大統領代行を務めていた。

 崔相穆副首相兼企画財政相が、大統領代行と首相を兼ねることになる。崔氏は経済官僚出身で、国会議員ではない。

 韓国は、核・ミサイル開発を続ける北朝鮮と対峙たいじしている。韓国政治の混迷に乗じ、北朝鮮が軍事的な動きを強めた場合、副首相が大統領と首相を代行する変則的な態勢で果たして対応できるのか。不安は募るばかりだ。

 混乱の発端が、尹氏の非常戒厳宣言だったのは間違いない。だが、野党は尹氏の弾劾訴追後、「国政の安定に協力する」と言いながら、大統領代行まで弾劾訴追し、混乱を拡大させている。

 野党は、尹氏の弾劾審判を行う憲法裁判所の裁判官9人中、空席の3人を任命するよう求めている。尹氏の罷免ひめんには裁判官6人の賛成が必要となるため、裁判官補充で罷免の可能性を高めようとしているのだろう。

 韓氏に続き、崔氏も裁判官の任命に応じない場合、野党は崔氏に対しても弾劾訴追案を持ち出す構えを見せている。数を背景に強引な手法をとり続け、国政をまひ状態に陥らせていては、いずれ世論の反発を招くのではないか。

 長引く政情不安の影響はすでに出始めている。

 尹氏が職務停止となった後、バイデン米大統領や石破首相は職務代行の韓氏と電話会談し、日米韓の結束強化を確認した。その直後に韓氏も職務停止となり、3か国の連携に影を落としている。

 経済も不安定な状況にある。非常戒厳後、通貨ウォンの下落が続き、韓氏が弾劾訴追された27日には、ソウル外国為替市場で2009年3月以来のウォン安・ドル高水準となった。

 このままでは、韓国の国際的な信用に傷がつく。与野党は、不毛な政争に明け暮れることなく、政治の安定と信頼を取り戻すよう最優先で取り組んでほしい。

 憲法裁では、尹氏の弾劾審判の初の弁論準備手続きが始まった。法に基づいた公正な審理が進むことを強く望む。

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