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日中外相会談 懸案解決へ具体策を講じよ

読売新聞 / 2024年12月30日 5時0分

 友好ムードを演出するだけで、懸案が何一つ前進しないのでは、日中間の安定的な関係の構築など望めまい。

 いずれの問題も、解決する責任はまず中国にある。早急に具体策を講じるべきだ。

 岩屋外相が訪中し、中国の王毅外相と会談した。約3時間の会談で両外相は、日中双方の利益を追求する「戦略的互恵関係」の推進を確認したほか、王氏が来年早期に来日し、その際に閣僚級の経済対話を開くことでも一致した。

 会談で王氏は「中日関係が安定すれば、アジアが国際社会で重要な役割を果たせる」と述べた。

 先月には、ペルーでの国際会議に合わせて石破首相と中国の習近平国家主席が初めて会談した。重層的な対話を継続し、日中間の様々な課題を着実に処理していくことが不可欠である。

 だが、懸案は解決に向かうどころか、むしろ悪化している。

 政府は今月、沖縄県の与那国島南方の排他的経済水域(EEZ)内に、中国当局が新たに設置したブイを発見した。ブイには「中国気象局」と表記されていた。

 中国のブイは、昨夏に尖閣沖のEEZ内で、また今年6月には、四国南方にある日本の大陸棚の海域でも見つかっている。日米などの潜水艦の情報収集や、日本周辺の海底ケーブルの調査が狙いではないか、といった見方がある。

 岩屋氏は会談で全てのブイの即時撤去を求めた。これに対し王氏がどう返答したかは、日中双方とも説明していない。そもそも日本政府は、外相会談後まで、新たなブイの存在を公表しなかった。

 日本の海洋権益が脅かされそうになっているのに、日中関係の悪化を懸念して公表をためらっているのだとすれば、ふがいない。

 日本の同意なくEEZ内にブイを設置する行為は、国連海洋法条約に違反している。中国が撤去に応じないのであれば、事前通告をしたうえで日本が撤去することも検討する必要がある。

 岩屋氏は会談で、中国政府による日本産水産物の輸入規制を早期に撤廃するよう改めて求めた。輸入再開の方針は、日中首脳が先月の会談でも確認している。中国政府がいまだに実行していないのは誠実さに欠ける。

 9月に中国・深圳の日本人学校に通う男児が刺殺された事件について、中国政府は今も動機などの説明を拒んでいる。日本人を含め在留外国人の安全は確保している、といった一般論を述べるだけでは、とても信用できない。

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