カーター元米大統領死去、100歳…退任後も紛争調停に尽力しノーベル平和賞を受賞
読売新聞 / 2024年12月30日 7時14分
【ワシントン=冨山優介】米非営利団体「カーター・センター」は29日、米国のジミー・カーター元大統領が亡くなったと発表した。100歳で、米大統領経験者として史上最高齢だった。
発表によると、ジョージア州の自宅で29日、家族に見守られながら亡くなった。死因については明らかにされていない。
カーター氏は77~81年の在任中、冷戦中だったソ連との緊張緩和に努めたほか、退任後も世界各地で紛争調停などに取り組み、2002年にノーベル平和賞を受賞した。
ジョージア州知事を経て、1976年の大統領選で民主党候補として勝利した。「人権外交」を掲げ、78年9月、エジプトとイスラエルの両首脳を大統領山荘キャンプ・デービッドに招き、和平協定「キャンプ・デービッド合意」を仲介し、歴史的な成果を上げた。
ソ連との核軍縮にも力を入れ、79年6月にはソ連の指導者ブレジネフ共産党書記長との間で、戦略兵器の運搬手段総数を米ソ対等にするなどとした第2次戦略兵器制限条約(SALT2)に調印した。在任中には中国との国交正常化も実現させた。
79年に起きたイラン革命後の米大使館人質事件では、イランと国交断絶したうえで人質救出作戦を決行したが、失敗に終わり批判を浴びた。国内の失業対策などでも成果を出せず、再選を目指した80年大統領選で共和党のロナルド・レーガン氏に敗れた。
退任後はカーター・センターを設立し、精力的な活動でアフリカやアジア、中東、中米など世界各地で民主主義の推進や紛争調停に尽力した。
84年には米大統領経験者として初めて被爆地・広島を訪問し、広島平和記念資料館を見学した。94年には北朝鮮が核開発を加速させ、米韓との対立が高まる中で平壌を訪問。当時の最高指導者だった
カーター氏は2015年8月に肝臓がんの摘出手術を受けた後、がんが脳に転移していることが判明し、入退院を繰り返していた。23年2月には余命を家族と過ごすとして、自宅でのホスピスケアに移行することを公表していた。
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