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ガザ支援の停止 住民を見殺しにするつもりか

読売新聞 / 2024年12月31日 5時0分

 パレスチナ自治区ガザで人道支援を行う国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の活動が危機にひんしている。

 イスラエル国内での活動を禁じる法律の施行が1月下旬に迫っているためだ。このままでは、すでに飢餓状態にあるガザ住民はイスラエル側からの補給路を断たれ、見殺しにされる。見過ごすわけにはいかない。

 UNRWAはイスラエルに接するガザとヨルダン川西岸などでの食料配給や医療支援などを任務とする。イスラエル軍がガザに侵攻し、病院や学校が標的にされる中でも活動を続けてきた。

 だが、ガザ北部はイスラエル軍に包囲され、2か月以上も食料や水を届けられずにいる。飢饉ききんの広がりが懸念される。

 イスラエル国会で10月に成立した法律が施行されれば、UNRWAの活動の重点であるイスラエル経由の支援は継続できなくなる。職員のイスラエル滞在ビザが無効になり、イスラエル当局との接触も禁止される。

 日本はUNRWAと連携してパレスチナ支援を進め、学校の建設や下水道網の整備などの事業を実現してきた。こうした支援も、現地に届かなくなる恐れがある。

 国連総会は今月、UNRWAの活動を全面的に支持し、イスラエルを非難する決議案を日本を含む159か国の賛成で採択した。米国とイスラエルは反対したが、国際世論が人道支援の継続を強く求めていることの表れである。

 UNRWAは国連総会の決議によって設立され、具体的な任務が定められている。その活動を国連加盟国であるイスラエルが一方的に妨害するのは、人道主義に対する挑戦と言わざるを得ない。

 イスラエルの後ろ盾である米国はUNRWAに対し、資金拠出を停止するなど厳しい立場を続けている。こうしたバイデン政権の姿勢が、イスラエルの強気を支えてきたのではないか。

 ガザではすでに多くの女性や子供を含む4万5000人以上が死亡している。イスラエルとイスラム主義組織ハマスに停戦を求める声がかつてなく強まっている。

 まもなく米国ではトランプ氏が大統領に就任する。イスラエル寄りの傾向は鮮明だが、かねて停戦が必要だとも主張してきた。

 イスラエルのネタニヤフ首相は停戦の実現に向けた協議に積極的に取り組むとともに、人道支援の継続に協力すべきだ。まずはUNRWAの活動を禁止する法律の施行を見合わせたらどうか。

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