能登地震1年 住まいの再建へ手厚い支援を
読売新聞 / 2024年12月31日 5時0分
元日に起きた能登半島地震から1年となる。被災地は秋にも豪雨に見舞われ、暮らしの再建が遅れている。国や自治体は復興が着実に進むよう、現地を手厚く支援してほしい。
被災地では、崩れ落ちた家屋が今も無残な姿で残されていた。営業を再開した店舗は少なく、人影もまばらだ。新年を迎える華やいだ雰囲気は感じられない。
9月の豪雨は、地域の再生に急ブレーキをかけた。仮設住宅が泥水につかり、住民らは再び避難を強いられた。最近、室内に入り込んだ泥の除去作業が終わり、ようやく再入居が始まった段階だ。
倒壊家屋については、自治体が所有者に代わって取り壊す「公費解体」が作業員の不足などで遅れていたが、ここに来て進み始めた。家屋の撤去が進まなければ、復興はおぼつかない。さらにペースを上げて取り組んでもらいたい。
家を失った住民の悩みは、今後どこで暮らしていくかだ。
応急的に建てられた仮設住宅は、原則2年しか住めない。元の家があった場所に住宅を再建するには多額の費用がかかる。被災地は高齢者が多く、これから建て直すべきか迷う人も少なくない。
県外などで避難生活を送る人にとっては、故郷に戻るかどうかも難しい選択になるに違いない。
地元自治体はこれから、被災者が安価な家賃で入居できる「災害公営住宅」の整備に取りかかる。建設場所や住宅のタイプがまだ決まっていないため、自宅を再建するか、公営住宅に入るか、住民が決めにくい状況にある。
自治体は、できるだけ早く公営住宅のプランを住民に示す必要がある。自宅の再建を考える人には、公的な支援金や融資制度などもある。自治体は、住民の相談に丁寧に応じる体制を整えるべきだ。
輪島市は今月、朝市周辺の整備や、輪島塗などの地場産業の再興を盛り込んだ「復興まちづくり計画」案を公表した。街の将来像が見えなければ、住民は前を向くことができない。他の地域も復興の計画作りを急いでほしい。
復興には長い時間と多くの人手がかかる。国や他の自治体は、現地に引き続き応援職員を派遣し、サポートする必要がある。民間のボランティアも息の長い支援を続けていきたい。
立て続けに被災した住民のショックは大きい。再び巡ってくる元日に地震の記憶がよみがえり、心身が不安定になることも心配される。医療・福祉の専門人材による住民のケアも欠かせない。
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