2区は3人が区間記録更新、平林や篠原が目立たないほどのハイレベルな戦い…早大ОB武井隆次さんが解説
読売新聞 / 2025年1月2日 10時38分
第101回東京箱根間往復大学駅伝競走(箱根駅伝=読売新聞社共催)は2日、往路のレースが午前8時にスタートした。国学院大、青山学院大、駒沢大の「3強」の前評判が高い中、出場21チームが2日間、217・1キロの箱根路を駆け抜ける。読売新聞オンラインでは、早稲田大学時代に4年連続区間賞を獲得し、総合優勝も経験した箱根路のレジェンド、武井隆次さん(53)のライブ解説でレースを詳報する。(デジタル編集部)
「新・最強留学生」が評判にたがわぬ走り
中央大の溜池一太(3年)は大きくリードで先頭にいる分、モチベーションも高く、余裕のある走りを見せている。
その中央大を追って、国学院大の平林清澄(4年)と駒沢大の篠原倖太朗(4年)の競り合いを予想していたのだが、他のエースたちの力走で、ぜいたくな、見どころのある2区になった。
東京国際大のリチャード・エティーリ(2年)がごぼう抜きを見せた。同大の先輩のイエゴン・ビンセントを超えると言われる「新・最強留学生」の評判にたがわぬ走りだ。
篠原は初の2区でやや抑え気味。駒沢の2区は、卒業した鈴木芽吹君もそうだったが、飛ばし過ぎて後から大八木(総監督)さんに叱られているから、指示を守って走っていたのだろう。
エースの後半のコースマネジメントはさすが
1区と違って、後半に権太坂と戸塚の急坂という2つの難所を抱える2区はコース攻略が難しい。他のランナーの使い方も場面に応じて違ってくる。豪華メンバーとなった今年の2区、エースはさすがに後半のマネジメントがうまかった。
青山学院大の黒田朝日(3年)は当日変更で満を持しての2区投入。前半は後ろで少し心配になる走りだったが、権太坂を終わって一気に順位を上げ、「戸塚の壁」で駒沢大も抜いた。エティーリを振り向かせる猛プッシュを見せた。だが、それを上回る勢いで、創価大の吉田響(4年)も後半に猛烈に追い上げた。
2区は1時間6分台でもすごいのに、日本人では前人未到と言われた1時間5分台をエティーリと日本人2人の計3人が記録し、ビンセントの持っていた区間新記録を更新するレベルの高さだ。
国学院大の平林清澄(4年)は、同グループ内の留学生や、前を走る篠原やエティーリをも使って走っていたが、出雲や全日本が良かっただけに、それに比べて平林らしさが感じられなかった。昨年は1区で遅れてたすきをもらった2区だったが、今年はいいところでたすきをもらってモチベーションは高かったはず。2区は自身で、あまり相性が良くないのだろうか。国学院大は5区の山登りが他校に比べて未知であるだけに、3、4区順位を上げておきたい。
鶴見中継所を出て、2位で飛び出した早稲田大・山口は昨年も走っているからコースを知っていたとは思うが、少し飛ばし過ぎで、順位を落としてしまった。
たけい・りゅうじ 1971年生まれ。東京・国学院久我山高で高校初の5000メートル13分台をマーク。早大時代は箱根駅伝で4年連続区間賞(1区、1区、7区、4区)、うち3度が区間新記録で、同期の花田勝彦、櫛部静二と並び「三羽がらす」と呼ばれた。卒業後はエスビー食品で2002年びわ湖毎日マラソンを2時間8分35秒で優勝。02年アジア大会男子マラソン銅メダル。引退後はエスビー食品のコーチ、監督を歴任。現在は「したまちアスリートクラブ」の監督として小、中学生を中心とした後進ランナーの指導にあたっている。
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