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1年たったがすごくつらく、思い出したくない…「でも少しずつ前を向いているよ」と父に伝えたかった

読売新聞 / 2025年1月2日 18時40分

追悼式で遺族を代表して言葉を述べる小林由紀子さん(1日、石川県輪島市で)

 1日に石川県輪島市で営まれた追悼式。父を失った悲しみに暮れるなか、衣料品店を再開した穴水町の小林由紀子さん(53)が遺族代表のあいさつで「半歩ずつだが、夫と共に店を守り抜き、地域の皆さんと共に歩んでいく」と誓った。

 小林さんは、家屋の下敷きとなった父洋一さん(当時82歳)を亡くした。衣料品店は曽祖父の代から130年以上続き、4年ほど前に「お客さんを大事にしないとだめやよ」が口癖だった洋一さんから継いだが、地震で崩壊した。

 涙に言葉を詰まらせながら、小林さんは「地震は店を一瞬にしてがれきの山へと変えた。実家も倒壊し、最愛の父を失った。仕事一筋で家族を支え、いつも優しい笑顔で見守ってくれた父。その突然の出来事に、悲しみ、絶望感に打ちひしがれた」と振り返った。

 店の継続をあきらめかけたが、「大丈夫やったか」「待っとるからね」と多くの人から励ましを受けて、昨年10月に町内の仮設商店街で何とか再開にこぎつけた。

 父が愛し、住民や常連客らに支えられてきた店を再建して守っていく決意をあいさつに込め、「それが父への感謝であり、地域の皆さんへの恩返しだと考える」と結んだ。

 追悼式後、小林さんは報道陣の取材に対し、「1年たったがこの日はすごくつらく、思い出したくない。でも、少しずつ前を向いているよと、父に伝えたかった」と語った。

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